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「教える」を、極限までシンプルに。自立したリーダーを育成し、組織を自⾛させる実践型プログラム。

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社員が成長するスキル型研修設計

効果的な研修設計とは

効果的な研修設計にお悩みの経営者や人材育成担当者は多いのではないでしょうか。
「せっかく研修したのに、受講生が前向きに受講しない」「成果が上がったのかどうか、わからない」「やったらやりっぱなしになってしまっている」など、研修には様々な悩みがつきものです。

今回は、そのような皆様に向けて、効果的に受講生を成長させる研修設計のやり方をお伝えできればとおもいます。

人材育成における学び方の種類

学びの方法は世の中たくさんあります。OJT、自習、eラーニング、勉強会、そして研修などが挙げられます。

◉ OJTの特徴・メリット・デメリット

OJT(On-the-Job Training)は、職場で上司や先輩が直接教える実践的なトレーニング方法です。このアプローチのメリットは、職員がその場で上司からフィードバックを受け、実務に直結した具体的な内容を学べることです。しかし、デメリットとして、トレーニングの質が教える上司のスキルや経験に依存するため、一定の標準化が困難であること、また、現場の負担が増加する可能性があることが挙げられます。

◉ 自習の特徴・メリット・デメリット

自習は、個人がテキストや本などを用いて自己主導で学習を進める方法です。この学習スタイルのメリットは、自分の都合に合わせて柔軟に学習を進められ、興味や関心に応じて内容を選べる自由度があることです。しかし、デメリットとしては、学習の進捗や成果を自ら管理し、自己診断する能力が求められることが挙げられます。

◉ eラーニングの特徴・メリット・デメリット

e-ラーニングは、インターネットを通じて動画などの教材を利用して学習する方法です。そのメリットは、場所や時間に縛られずに学習ができ、多様な教材の中から自分の興味やニーズに合ったものを選んで学べる柔軟性にあります。ただし、デメリットとして、学習者自身の自己管理能力が必要であり、オンラインでの学習は専門家からの直接的なフィードバックを受けにくいという課題があります。

◉ 勉強会の特徴・メリット・デメリット

勉強会は、特定のテーマに基づいて参加者がお互いに知識や情報を発表し合う形式の学習です。メリットとして、参加者同士から多角的な視点や知識を学び取ることができ、同時に社内外でのネットワーキングや交流の機会にもなります。一方でデメリットは、その質が参加者の資質や意欲に依存し、発表や討議の準備に手間がかかることがあります。

◉ 研修の特徴・メリット・デメリット

研修では、専門性の高い講師を招き、受講生に対して講義を行うというアプローチが取られます。この方法のメリットは、受講生同士や講師との議論を通じて理解が深まり、講師から直接、専門的なフィードバックを受けられる点にあります。ただし、デメリットとして、専門的な講師を招くための費用がかかるという問題もあります。

「人材育成」となると、すぐに「研修」を思い浮かべる経営者や育成担当者は多いのですが、「研修」はあくまで多様な人材育成の方法にすぎません。研修は費用もかかりますので、何を学ばせたいのかを明確にしたうえで、研修に適する内容を決めていくと、効果的な育成計画になります。

それぞれの特徴、メリット、デメリットをまとめてみました。

手法特徴メリットデメリット
OJT実際の仕事で指導即時フィードバック
実務に直結
標準化が困難
現場負担が大きい
自習個人が本などで学習自分の都合で学習、
興味に応じた選択
自己管理や自己診断が必要
eラーニングオンライン教材を利用場所・時間制限なし
多様な教材
自己管理必要
フィードバックが無い
勉強会テーマで集まり共有多角的視点、
ネットワーキング
参加者に依存する
準備に手間がかかる
研修専門講師が指導議論により理解が深まる
専門講師のフィードバック
費用がかかる
個別対応が難しい

人材育成を研修で行う意義

先述の表の特徴を踏まえると、研修に合う内容とは以下に限定されることになります。
* そもそも講師でないと教えられない専門性が高い内容
* 受講生同士の議論がないと理解を深めて身に着けられない内容
* 専門講師によるフィードバックが必要な内容
逆にいうと、上記3つが満たされなければ、わざわざ費用のかかる研修をする必要はありません。特に“知識”を覚えるものは、いくら専門性が高くても、課題図書やeラーニングの受講を義務付け、後日理解度テストをすれば良いのです。
従って、研修が適切な内容は、知識ではなく、スキルになります。なぜならば、スキルは、考え方を覚えても、実務に応用して初めて腹落ちするものだし、専門家からの適切なフィードバックがなければ、実務に応用した結果の振り返りと改善ができないからです。
ゴルフで例えると、ルールは本とテストで覚えればよいですが、具体的なスウィングの仕方は、ティーチングプロから理論を学んで実践し、プロからのフィードバックが必要だということです。

研修効果をゼロにする原因

適切な内容を研修で学ばせたとしても、研修効果をゼロにする落とし穴がたくさんあります。これらの落とし穴にはまらないように気を付けながら、研修を設計しないとなりません。
いくつか代表的な落とし穴を挙げておきます。

①受講生が実務への関連性を理解していない「目的意識不足」

そもそも受講生が研修の目的を理解しないまま参加させられるケースは思いのほか多いです。

②実践を伴わない「やりっぱなし」

よくある研修設計のNG例が、研修を受けっぱなしになっているパターンです。
「エビングハウスの忘却曲線」をご存じでしょうか。悲しいかな、人は覚えたことの66%を翌日には忘れてしまうという法則です。
ただ、嬉しい研究もあります。カナダのウォータールー大学で行われた忘却曲線の研究によると、記憶を100%戻すには、
* 1回目の復習:講義後24時間以内に10分間
* 2回目の復習:1週間後に5分間
* 3回目の復習:1ヶ月後2~4分間
以上のように、定期的に復習するだけで記憶を定着できることが分かっています。
つまり、研修で学んだ内容を、確実に実践させる構造を作りだすことが必要です。

③インプットが多すぎる「詰め込み」

3点目が、「詰め込み型」の研修になっている例です。
研修講師は教えたいことが多すぎて、ついついあれやこれやとたくさんのインプットをしがちです。しかし、スキルで教えないといけないことは、実はさほど多くありません。ゴルフと同じで、基本となる理論はシンプルなのです。
細かい枝葉まで色々詰め込みすぎた結果起こるのが消化不良で、結局何を学んだのかよくわからなくなってしまいます。

④考え方が難しすぎて使えない「講師の自己満足」

4点目が、そもそも教える考え方そのものが難しかったり、講師の経験談ばかりの「講師の自己満足」です。
前者は、頭の良い外資コンサル出身の講師に起こりがちな現象です。
例えば、「ロジカルシンキング」研修では、「帰納法」「演繹法」「ロジックツリー」「MECE」「ピラミッド構造」「フレームワーク」等、これでもかというくらい、難しい単語や横文字がバンバン出てきます。
そもそも受講生の多くは「ロジカル」に抵抗感や苦手意識を持っている中で、このような難しい言葉や横文字の多用は、講師の自己満足にしかすぎず、受講生の苦手意識をさらに強めてしまうことにもなりかねません。
後者の「経験談」は、経験豊富な事業会社出身の講師に起こりがちです。経験を抽象化して理論を教えられる講師を選びましょう。

研修効果を上げるためには

では、以上を踏まえて、どのような点に気を付けて研修設計すればよいのでしょうか。

①受講生の実務課題を取り上げる

受講生に目的意識を持たせるために、研修中に受講生の実務課題を取り上げる演習を必ず設け、実務課題を取り上げることを研修案内でもアナウンスしましょう。

②複数回に分けて、実践と振り返りの時間を設ける

忘却曲線を緩やかにするために、研修は極力複数回設定することが重要です。
8時間の終日研修を設計するならば、4時間 x 2回にし、初回と2回目の間に中間課題を設けて実践させ、2回目で振り返りを行います。
このようにインプットとアウトプットを繰り返すことで、忘却曲線が緩やかになり、スキルが定着しやすくなります。
また、実践と振り返りの際には、上司や関係者を巻き込む構造を作ることも効果的です。学んだ内容と中間課題の取り組み内容を上司に報告させ、次回の研修までに上司と振り返り面談を行うなどで、嫌でも受講生が実践する構造を作りましょう。

③インプットは最小限度に絞る

受講生の実務課題を取り上げ、かつ中間課題と振り返りの時間を設けると、どうしてもインプットの時間が短くなります。
「せっかく高い研修費用を払ったのだから」とあれやこれやを詰め込むのはやめましょう。本当に受講生に学んでほしいポイントを研修会社とよくすり合わせて研修内容を決定します。

④教えるべきポイントをシンプルに

一般的に研修講師は、もともとデキる人であるパターンが多いです。研修教材に難しい言葉や横文字が羅列しているケースは要注意です。
3点目とも関連しますが、インプットを最小限度に絞っても、内容が難しかったら誰もついてきません。教えるべきポイントを、受講生の視点にたって、シンプルに分かりやすく、誰でも理解できる言葉で教えられる研修会社・講師を選ぶようにしましょう。

オンラインの活用

最後にオンライン研修の活用方法についてお伝えします。
リアル研修もオンライン研修も、それぞれメリットとデメリットがあります。これらを理解したうえで、効果的にオンライン研修を組み込んでいくことをオススメします。
具体的には、以下のような活用例となります。

* 受講者同士の相互交流が重要な幹部研修はリアルで行う。
* 参加者が多い階層別研修で受講生が物理的に集まるのが大変であれば、オンライン
* 初日は対面研修で受講生同士の交流を促し、2回目からはオンライン研修も活用し、受講生の負担を軽減する

オンラインは集中力の継続が難しく、特にオンライン研修の場合は、研修時間は長くても4時間程度に抑えることをおすすめします。

対面オンライン
コスト
会場費等

会場費や移動費などがかからない
利便性
設営等が大変

設営準備がほぼなく、自宅から参加可
集中力
集中しやすい

集中しにくい
相互交流
受講生同士の交流はしやすい

限界がある
資料共有
モニターの準備などが必要

共有機能でパワポ等の資料共有が簡単

最後に

いかがでしたでしょうか。効果的な研修設計にするには、以下の点に気を付けましょう。

* 研修の特性を踏まえ知識ではなくスキルの習得にする
* 受講生の目的意識をつけるために実務課題を取り上げる
* 学びを定着するために実践と振り返りの時間を設ける
* 消化不良にならないようにインプットを絞る
* 受講生が理解できるようにシンプルでわかりやすい内容にする
* オンライン研修を上手に取り込む

当社は、以上の注意点を組み込んだ次世代リーダー育成プログラム「JISOU」を展開しています。興味のある経営者・人材育成担当者の皆様、遠慮なくお問い合わせください。

Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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