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ビジネスマインドをテーマに新入社員研修に登壇しました──「当たり前」の中にこそ、本質がある

ビジネスマインドをテーマに新入社員研修に登壇しました
──「当たり前」の中にこそ、本質がある

先日、総合商社にて新入社員研修に登壇しました。

私自身は普段、管理職研修を中心に登壇しています。管理職の方々が組織をどう導くか、部下の成長をどう支えるかといったテーマに日々向き合っているからこそ、「マインドの土台がいかに重要か」を痛感する場面が数多くあります。そのため、4月の新入社員研修ラッシュの時期は比較的登壇が少なく、自分自身の仕事を見つめ直したり、未来に向けてじっくり考えたりする貴重な期間でもあります。ただ、今回は私自身が総合商社の出身ということもあり、社会人としての第一歩を踏み出したばかりの若い方々に、何か少しでも伝えられることがあればという思いで、熱い気持ちを持って登壇しました。

テーマは「ビジネスマインド」。

教材に書かれているメッセージは、「目的を持ちましょう」「相手に興味を持ちましょう」「プロ意識を持ちましょう」「ルールを守りましょう」──言葉にすれば、どれも聞いたことのある「当たり前」の話ばかりです。おそらく受講者の皆さんも、一つひとつを読めば「それはそうですよね」と感じるのではないかと思います。

しかし、私たちが本当に伝えたいことは、この言葉の表面にはありません。
その奥にある、もっと深いところにあります。

自分自身の総合商社時代を振り返って痛切に思うのは、この「当たり前」こそが何より重要だということです。むしろ、当たり前のことを当たり前にやり続けることほど難しいことはない、と言ってもいいかもしれません。

マインド・スキル・知識の三層構造

私たちは、人の成長を「マインド」「スキル」「知識」の三層構造で捉えています。土台にマインドがあり、その上にスキルが積み上がり、さらにその上に知識が載る。この順番が極めて重要です。

マインド(Mind) 自己基盤力をベースにした目的・プロ意識など スキル(Skill) ロジカルシンキングなど 知識 = すべての土台 = 知識を活かす力 = 学び続ける情報 重要度
▲ 人の成長を支える三層構造──土台の「マインド」がすべてを支える

知識をいくら蓄えても、それを活かすスキルがなければ現場では使えません。そしてスキルがあっても、根底にマインドがなければ、本当の意味での行動変容は起こらない。つまり、どれほど優れた知識やスキルを身につけたとしても、それを支えるマインドという土台が脆ければ、成果にはつながらないのです。

新入社員の皆さんはこれから膨大な知識を学び、多くのスキルを身につけていくでしょう。だからこそ、その土台となるマインドを最初にしっかり据えることが、遠回りに見えて実は最も確実な成長への道だと考えています。これは新入社員に限った話ではなく、私が普段の管理職研修で経営幹部やマネージャーの方々と向き合う中でも、繰り返し確認されることです。


「分かる」と「腹落ちする」の距離

ただ、ここに研修の難しさがあります。当たり前のことを当たり前に伝えるだけでは、受講者にはその本当の重要性が届かないのです。「目的を持ちましょう」と言われて反対する人はいません。しかし、「分かる」と「腹落ちする」の間には大きな距離があります。

分かる 頭での理解 ── 大きな距離 ── 腹落ちする 心からの納得 → 行動変容

頭で理解しただけでは、人は行動を変えられない。心の深いところで納得して初めて、日々の行動が変わっていく。私たちが研修において何より大切にしているのは、この「腹落ち」です。

だからこそ、講師としての実体験を交えながら、一つひとつのメッセージに「なぜそれが大切なのか」という背景をきちんと添えることを意識しています。


教材の言葉の奥にあるもの

教材の言葉
「目的を持ちましょう」
単なる精神論ではなく、心理学的な裏付けがある。当社が提唱する「自己基盤力」──自分の内面を整え、ぶれない軸を持つことで主体的に力を発揮できる力──と深くつながっています。
教材の言葉
「相手に興味を持ちましょう」
単なるテクニックではない。承認や傾聴の本質を理解し、相手の存在そのものに関心を寄せることが、信頼関係の出発点になります。
教材の言葉
「プロ意識を持ちましょう」
「給料をもらう以上はプロ」という表面的な話ではなく、自分の仕事に誇りを持ち、成果にこだわる姿勢がマインドの土台を強くします。
教材の言葉
「ルールを守りましょう」
ただ規則に従えという話ではない。目的を踏まえたルール遵守は、やがて自分自身で判断し行動できる力──本当の意味での自律につながります。

このように、教材の言葉はあくまで入口にすぎません。その一つひとつの奥にある深い意味と背景を、受講者が自分ごととして受け取れるよう、分かりやすく、かつ丁寧に届けること。これが私たち講師の役割であり、当社が研修を通じて実現したいことです。


総合商社時代の自分に伝えたかったこと

今回の登壇では、私自身が総合商社時代を振り返り、「あのときこういうマインドを持って仕事に臨んでいれば、もっと成果を上げられた」「もっと早くから意識していれば、違う景色が見えていたかもしれない」と痛切に感じていることを、率直にお伝えしました。

成功体験だけでなく、自分自身の後悔や気づきも含めて語ることで、少しでもリアリティを持って届けばという思いからです。


新入社員の皆さんにとって、研修で聞いた話のすべてがすぐに実感を伴うわけではないでしょう。

しかし、いつか壁にぶつかったとき、悩んだとき、
「そういえばあのとき、あんな話を聞いたな」と思い出してもらえる瞬間があれば、
それは一つの力になるはずです。

今回お伝えしたことが少しでも受講者の皆さんの心に残り、
これから社会人として羽ばたいていく中で、何かの材料になれば──そう願っています。

Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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