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マネジメントがみるべき時間軸とは?

⏳「長期的」とはどれくらいか?──“未来責任”という視点

「マネジメントの本質は、長期的な組織成果の最大化である」

これは、ピーター・ドラッカーが繰り返し述べてきたマネジメントの核心です。

しかし、ここで必ず出てくる疑問があります。

「長期的」とは、いったいどれくらいの期間を指すのか?

1年か。
3年か。
5年か。
それとも10年か。

この問いを曖昧にしたままでは、「長期」という言葉は空虚になります。

実はこの問いの答えは、年数ではありません。

長期とは、“時間の長さ”ではなく、
未来への責任範囲のことなのです。


■ 「長期」は絶対時間ではない

私たちはつい、「長期=何年」と考えがちです。

しかし実際には、立場によって背負う時間軸は異なります。

たとえば、現場のスタッフ。

その人の責任は、

  • 今日の接客
  • 今週の業務品質
  • 目の前の顧客体験

にあります。

一方で、経営者は違います。

  • 3年後の事業競争力
  • 5年後の組織体制
  • 10年後の企業価値

にまで責任を負う立場です。

つまり、

長期とは時間の長さではなく、未来への責任の射程距離である

ということです。


■ スターバックスに見る「責任の時間軸」

分かりやすい例として、スターバックスを考えてみましょう。

店舗スタッフは、目の前のお客様の笑顔に責任を持ちます。

  • 一杯のコーヒーの品質
  • 接客の温度感
  • その瞬間の体験価値

それが仕事の中心です。

しかし、そのスタッフが3年後のスターバックス全体の業績に責任を負うわけではありません。

未来を考えないのではない。
役割の時間軸が「いま、この場」にあるのです。

一方で、経営トップはどうでしょうか。

  • 店舗戦略
  • 商品開発
  • 人材育成
  • ブランド価値
  • 社会的信頼

それらを未来に向けて持続可能に設計する責任があります。

同じ組織にいながら、
背負う時間軸はまったく異なります。


■ 時間軸が“逆転”すると何が起きるか

問題は、この時間軸が逆転してしまうことです。

本来、未来を見据えるべき経営層が、
四半期利益や株価だけに囚われる。

短期成果を最優先し、
現場に過度なプレッシャーをかける。

すると何が起きるか。

  • 数字のために倫理が歪む
  • 不正や隠蔽が生まれる
  • 人材が疲弊する
  • 長期投資が削られる
  • 組織の信頼が崩れる

これは一部の大企業だけの話ではありません。

中小企業でも、行政でも、
「いまの成果」だけを優先する意思決定は日常的に起きています。

時間軸を誤ると、
組織は静かに崩れていくのです。


■ 役職が上がるほど、未来責任は長くなる

一般的に、役職が上がるほど未来責任の期間は長くなります。

  • 一般社員 → 今日・今週の成果
  • 主任・係長 → 月次・四半期の成果
  • 課長 → 年度単位の成果
  • 部長 → 3〜5年の事業展望
  • 社長 → 5〜10年先の組織全体

重要なのは、「長期」の定義が変わることです。

年数は目安にすぎません。

本質は、

自分の立場が、どこまでの未来に責任を負うのか

という問いです。


■ 「長期的」とは未来責任を果たすこと

ここで強調したいのは、

「長期的」とは単に“先を見ている気分になること”ではない、ということです。

未来を語ることは簡単です。
ビジョンを掲げることも簡単です。

しかし重要なのは、

自分の立場に応じた未来責任を、現実の意思決定に反映させているか

です。

例えば、

  • 短期利益のために人材育成を削っていないか
  • 今期目標のためにブランドを毀損していないか
  • 数字のために倫理を曖昧にしていないか

未来責任とは、
未来を“守る”意思決定をすることです。


■ ⚠️ 短期志向が生むリスク

短期成果ばかりを追い続ける組織には、共通した兆候があります。

  • 数字至上主義
  • 詰め文化
  • 挑戦の減少
  • 研究開発の縮小
  • 人材育成の後回し
  • 離職の増加

目の前の成果は手に入るかもしれません。

しかしその裏で、
未来の成果を削っている可能性があります。

これはすぐには表面化しません。

だからこそ怖い。

未来を削るマネジメントは、気づかないうちに組織を弱くする。


■ 短期と長期は対立しない

ここで誤解してはいけないのは、

長期を重視することは、
短期を無視することではない、ということです。

重要なのは、バランスです。

短期は「生きるため」に必要です。
長期は「生き続けるため」に必要です。

管理職の役割は、

短期を達成しながら、長期を削らない意思決定をすること

です。

これが、時間軸を持ったマネジメントです。


🌱 自分自身への問い

ここで一度、立ち止まってみてください。

  • あなたの立場における「長期」とは何年か?
  • あなたはいま、その未来責任を果たせているか?
  • 短期成果の追求が、未来の成果を削っていないか?
  • あなたの意思決定は、3年後の組織を強くしているか?

この問いに真剣に向き合えるかどうかが、
管理職としての分岐点になります。


■ まとめ

  • 「長期的」とは時間の長さではなく“未来責任”である
  • 立場が上がるほど、背負う時間軸は長くなる
  • 経営層が短期に囚われると、組織は崩壊へ向かう
  • 短期と長期のバランスを取る視座が管理職には不可欠
  • 未来責任を自覚することが、健全な組織の出発点

「長期的」とは、
自分の立場で未来に責任を持つこと。

あなたがどの時間軸を背負うかによって、
組織の数年後は大きく変わります。

マネジメントとは、
未来を“語る”ことではなく、
未来に“責任を持つ”ことなのです。

Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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