ビジネス地頭力養成講座

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自己基盤力というキャリアの土台

最近、拙著『自己基盤力』に関連した講演の機会をいくつかいただきました。
ありがたいことに、企業や団体からお声がけいただき、経営者や管理職、若手社員の方々と直接対話をする中で、私自身が改めて気づかされることが数多くありました。

講演を重ねる中で強く感じたのは、やはり「キャリア形成の出発点は自己基盤力である」ということです。
今回は、その講演を通じて得た学びや実感を少し整理しながらお伝えしたいと思います。

キャリアを築くとは何か

「戦略的にキャリアを築く」と聞くと、少し大げさに聞こえるかもしれません。
けれども、これは決して特別なことではありません。

自分のキャリアを考えるときに大切なのは、

  • 「自分らしさ」を発揮できること
  • 「周囲から求められるニーズ」に応えられること

この二つが重なる領域を、意識的に選び取っていくことだと考えています。
経営学でいうところの「クロスSWOT分析」に例えるなら、まさに S(自分の強み)と O(外部環境の機会) を掛け合わせた領域を見極めていく作業に近いでしょう。

「自分は何が得意なのか」
「世の中は何を求めているのか」

この交差点を見つけられたとき、人はキャリアの中で最も力を発揮できるのだと思います。

自己基盤力とは何か

では、その「S×O」を見極めるために必要な土台は何でしょうか。
私はそれを 「自己基盤力」 と呼んでいます。

自己基盤力とは、

  • 「自分への信頼と愛情」を持てる力(=自己肯定感)
  • 「自分ならできる」という感覚を持てる力(=自己効力感)

この二つを掛け合わせたものです。

自己肯定感がなければ、自分を信じられず、挑戦に踏み出せません。
自己効力感がなければ、せっかくのチャンスを前にしても「自分には無理だ」と諦めてしまいます。

逆に、この二つが揃えば、自分らしさを大切にしながら、周囲の期待にもしっかり応えられる。
つまり、「キャリアの選択を前向きに行う力」が備わるのです。

自分自身の反省

偉そうに語ってはいますが、私自身、会社員時代は決して戦略的なキャリアを歩んでいたわけではありません。

商社での15年間、確かに多くの学びや経験はありました。けれども、振り返れば「流されるままに」仕事をし、常に他人の評価軸で自分を測っていました。

「上司にどう思われるか」
「同期と比べてどうか」
「成果を残せているか」

そんなことばかり気にして、心の奥底では「本当に自分がやりたいことは何か」という問いに向き合う余裕を持てていませんでした。

だからこそ今、自己基盤を整えてキャリアを前向きに形づくることの大切さを強く実感しています。
講演のたびに、自分の過去と向き合いながら、同じように悩んでいる人の姿を重ねてしまいます。

講演でいただいた声

ありがたいことに、講演の後にはこんな声をいただきます。

  • 「自分のキャリアを見直すきっかけになった」
  • 「“評価軸に振り回される”という話に共感した」
  • 「自分の強みと社会のニーズを重ねるという考え方が腑に落ちた」

こうした感想を伺うたびに、私自身の経験がようやく誰かの学びにつながっているのだと感じられ、とてもありがたい気持ちになります。

講師として伝えることが、同時に自分の過去を赦し、未来に生かしていく作業でもあるのだと、改めて実感しています。

管理職育成との関わり

現在、私が提供している管理職育成プログラムでも、この「自己基盤力」を最重要テーマの一つとして位置づけています。

なぜなら、マネジメントに必要なスキルや知識は数多くありますが、最終的にそれらを使いこなすのは「人」です。
土台である自己基盤が揺らいでいれば、いくらスキルを学んでも、成果に結びつけることは難しいのです。

「自分の軸を整える」ことができて初めて、部下との1on1、フィードバック、チームビルディングといったマネジメント手法が生きてきます。
つまり、自己基盤力はあらゆるマネジメントスキルの 出発点 なのです。

若者にこそ必要な「自己基盤力」

キャリア戦略というと、どうしても「セカンドキャリアを考える中高年向け」と捉えられがちです。
しかし、終身雇用が前提ではない今こそ、むしろ若い世代にとって必要なテーマだと感じています。

  • 「やりたいことが分からない」
  • 「ありたい姿を描けない」
  • 「とりあえず今の仕事を続けている」

多くの若手が、こんな悩みを抱えています。
もちろん、「今のままで十分」と主体的に現状維持を選ぶなら、それは立派な戦略です。
けれども、「自分で選んだ」という感覚がなければ、仕事も人生も「ただ流されている」ように感じてしまうでしょう。

だからこそ、若い世代にこそ「自己基盤力を整えること」が求められているのだと思います。

おわりに

講演を重ねる中で、私はますます確信を深めています。
――今の時代、ビジネスパーソンすべてに自己基盤力が必要である、と。

キャリアに正解はありません。
けれども、自分を信じ、等身大の自分を受け入れ、「これが自分の選択だ」と思えること。
その基盤があるからこそ、人はどんな環境でも前を向いて進んでいけるのだと思います。

私自身も引き続き学び続けながら、このテーマを多くの方々と共有していきたいと考えています。

Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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