「次世代リーダーの育成」は多くの企業の重要課題ですが、真の組織変革において最も重要なのは、「現在の経営陣がいかに変わるか」ではないでしょうか。
昨年10月より4ヶ月間にわたり、大手製造業グループの技術系事業会社にて、現役の経営幹部・役員の方々を対象とした研修の講師・伴走役を務めさせていただきました。そのプロセスで見えた、組織を動かす「経営陣の変容」の本質について共有いたします。
1. トップ自らが「Why」を再定義する意味
今回の研修で最も重視したのは、現役役員の方々一人ひとりが「自社はなぜ存在するのか」「なぜ今、変わらなければならないのか」という「Why(志)」**を徹底的に深掘りすることでした。
現役の経営陣が、これまでの成功体験や親会社との関係性といった既存の枠組みを超え、自らの言葉で「自律」を語り出す。このプロセスこそが、組織全体を動かす巨大なエネルギーとなります。
2. 当事者による「5つの経営提言」
最終報告会では、各チームから現職の社長・役員陣に対し、全社最適をテーマにした具体的な経営戦略が提言されました。
これらは単なる将来の計画ではなく、「今、自分たちが実行すること」としての重みを持った提言です。
- 受託から「価値創造」へ :顧客ニーズを特定し、選ばれる理由を自ら創る(マーケティング視点への転換)
- 「ワクワク」を経営の柱に :人の意欲を最大化させる人間中心のマネジメント
- 「組織知」への昇華: 現場の強みを標準化し、全社で共有・活用する
- 責任経営の徹底: 経営スピードを加速させる組織構造(事業部制など)への刷新
- 組織風土の抜本改革: 挑戦を阻む「減点主義」からの完全脱却
3. 「自己決定」が組織のパラダイムを変える
発表会の締めくくりに、経営トップから贈られた言葉が非常に印象的でした。
「かつての再生を成し遂げたのは、一部のエリートの決定ではない。現場がもがき苦しみながら下した『自己決定』の積み重ねだった」
この言葉は、研修に参加された役員の方々にとって、改めて「自らの意志で決める」ことの重みを再認識する機会となりました。トップが自ら変わり、自ら決める姿を見せる。これこそが、全社員の「自分事化」を促す唯一の方法です。
4. 経営・人事部の皆様へ:経営陣の変容を支援するということ
今回の4ヶ月間を通じて、経営陣が「依存」から脱却し「自立」へと向かうセルフイメージを共有したとき、組織の未来は劇的に明るくなることを実感しました。
研修を、単なる教育の場で終わらせない。 それは、経営陣が一致団結して「新たな未来を自己決定する場」でもあります。
経営層の意識変革を通じて組織全体を動かしたいとお考えの皆様と、共に変革の場を創り上げていければ幸いです。

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