先日、某建材系専門商社にて、次期管理職候補者を対象とした問題解決研修プログラムが無事に完了しました。
本プログラムは半年間にわたり、研修でのインプット、自業務に基づく課題設定とアウトプット、そして1on1による伴走支援を繰り返す”実践型”の育成プログラムです。受講者自身の仕事を題材にしながら、問題解決の思考と行動を身につけていく設計になっています。
実はこの研修、昨年までは別会社が担当していたものを、今年から当社が引き継ぐ形でスタートしました。
昨年のアウトプットから見えた「違和感」
引き継ぎにあたって最初に着手したのは、昨年度のアウトプットの分析です。
一見すると、よく整理されていました。フレームワークも適切に使われています。しかし、読み進めるうちにある共通した違和感が浮かび上がってきました。
「やらされている感」です。
問題設定がどこか他人事で、結論が表面的。フレームワークに”当てはめただけ”の思考が並んでいました。「正しくやっている」のに、「本人の内側から出てきた言葉ではない」──これは、問題解決研修において最も避けるべき状態です。
なぜなら、問題解決とは本来、「自分が何を実現したいのか」から始まる思考プロセスだからです。この起点が抜け落ちたままでは、どれだけ高度なスキルを教えても、行動変容にはつながりません。
すべては「目的設定」から始まる
そこで今回のプログラムでは、Day1の設計を大きく見直しました。
従来のように、いきなり問題解決の手法に入るのではなく、最初に徹底的に扱ったのは「なぜ、この研修に取り組むのか?」という問いです。
目的設定の本質的な意味、モチベーションはどこから生まれるのか、コンフォートゾーンはどのように動かせるのか。一見すると問題解決とは直接関係のなさそうな領域を、あえて丁寧に扱いました。
受講者に伝えたメッセージはシンプルです。
この研修は、”やらされるもの”ではなく、
自分が実現したい未来を達成するための“手段”である。
この前提が腹落ちした瞬間、研修の意味は180度変わります。
1on1を「詰める場」から「引き出す場」へ
もう一つ、大きく変えたのが1on1の位置づけです。
従来のプログラムでは、1on1はどちらかというと「アウトプットの精度を高めるために詰められる場」になっていました。しかしそれでは、受講者は”評価される側”に回り、防御的になります。
今回のプログラムでは、1on1を「一人ひとりの思いを言語化し、形にしていく場」として再定義しました。正解を求めるのではなく、本人の中にある未言語化の意図や違和感を引き出す場です。
そのために意識したのは、結論を急がないこと、評価をしないこと、そしてひたすら”問い”で伴走すること。
結果として、受講者の発言は徐々に変化していきました。
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「自分はこうしたいと思っています」
この変化こそが、“自分ごと化”のサインです。
最もつまずく「問題分解」と「原因分析」
研修の中核である問題解決スキルについても、単なる手法のインプットでは終わらせませんでした。
特に多くの受講者がつまずくのが、「問題分解」と「原因分析」の違いです。多くの場合、この2つが混同され、いきなり原因を考え始めてしまう。そもそも何を分解すべきかが曖昧なまま進み、分解が浅いために打ち手が的外れになる──そうした状態に陥りがちです。
問題分解
打ち手の方向性を決めるための思考
原因分析
打ち手の精度を高めるための思考
この”役割の違い”から丁寧に紐解き、さらに単なるロジックにとどまらず、「なぜその分解をするのか?」という戦略的な意味合いまで踏み込んで解説しました。
この理解が深まることで、アウトプットの質は目に見えて変わっていきます。
半年間で起きた、静かな変化
プログラム開始当初、受講者の表情はどこか硬く、緊張感が漂っていました。しかし、Day1の終了後、最初の1on1の後、2回目・3回目のアウトプットを重ねるごとに、その表情は少しずつ変わっていきました。
最終回の1on1で、ある受講者からこんな言葉が出てきました。
「とても楽しかったです!」
問題解決研修で「楽しい」という感想が出てくることは、決して当たり前ではありません。それは、「やらされる課題」ではなく、「自分が向き合いたいテーマ」になった証です。
忙しいからこそ、「立ち止まる時間」を
今回の受講者は、30代〜40代前半。いわゆる”脂の乗った世代”であり、日々の業務に追われる中核人材です。
だからこそ、目の前の業務をこなすことで精一杯になり、長期的な視点で考える余裕がなくなる。自分の思考を振り返る時間が取れない。そうした状態に陥りがちです。
しかし、本来の成長は「一度立ち止まり、考える時間」の中でこそ起きるものです。今回の半年間は、まさにその時間を意図的に設計したプロセスでした。
研修の価値は「スキル」ではなく「状態変化」
今回の取り組みを通じて改めて感じたのは、研修の価値は単なるスキル習得ではなく、「受講者の状態変化を生み出せるかどうか」にあるということです。
他人事
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TO
自分事
受け身
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TO
主体
正解探し
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TO
意味づけ
この変化が起きたとき、初めてスキルは”使えるもの”になります。そしてその起点は、いつもシンプルです。
この研修は、自分にとって何の意味があるのか?
この問いに向き合うことから、すべてが始まります。
もし、「研修をやっているのに成果が出ない」「受講者が主体的に動かない」といった課題を感じていらっしゃるなら、それはスキルの問題ではなく、“設計の問題”かもしれません。
私たちはこれからも、「人が本当に変わる瞬間」に向き合いながら、研修の在り方そのものをアップデートしていきます。
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