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【管理職研修】KPIは「本体」ではなく「モノサシ」——目標設定の指標設計で陥る三つの落とし穴


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はじめに:目標設定でKPIを設定したのに、組織がおかしな方向に動いている

「目標設定でKPIも設定した。メンバーもその数字を意識して動いている。なのに、なぜか組織として目指していた方向と違うところに進んでいる気がする」——。

このような違和感を覚えたことはないでしょうか。

目標設定におけるKGIやKPIの設計には、見落とされがちな落とし穴がいくつかあります。指標を正しく理解し、正しく設計しなければ、組織は「モノサシに振り回される」状態に霥ります。

当社の管理職研修では、目標設定の品質を高めるための指標設計の考え方を重点的にお伝えしています。本記事では、目標設定の指標設計でよくある三つの落とし穴と、それを回避するための考え方を解説します。

落とし穴①:目標設定で「測れるもの」だけを目標にしてしまう

目標設定でKGIやKPIを設計する際、最も多い誤りは「測りやすいもの」を目標にしてしまうことです。

売上や不良率のように、すでに計測の仕組みがある数値は、目標設定の指標として設定しやすい。しかし、「測りやすいこと」と「目指すべきこと」は、必ずしも一致しません。

たとえば、DX推進部門が目標設定で「DX研修の実施回数」をKPIに設定したとします。回数は測定しやすい指標です。しかし。研修を3回実施したところで、現場がDXツールを使いこなしていなければ、目的には近づいていません。

管理職研修でお伝えしている目標設定の原則は、KGI・KPIの本質は「数値であること」ではないということです。その本質は、複数の人が独立して「達成したか?」を判断したとき、同じ結論に至れること——この客観的な検証可能性にあります。

この条件を満たす方法は、数値だけではありません。目標設定における指標には三つのレベルがあると考えてください。

THREE LEVELS

目標設定における指標の三つのレベル

レベル 説明 具体例
Level 1
数値指標
最も明快。数値で直接測定可能 売上○○億円 / 不良率0.3%以下 / 顧客満足度90点
Level 2
状態目標(Being)
数値ではないが、誰が見ても達成を判断できる 全部門がDXツールを日常業務で活用し、紙の申請書がゼロになっている
Level 3
マイルストーン
特定の成果物やイベントの完了 Q2末にDXロードマップが経営会議で承認されている

※ 共通の本質:複数の人が独立して「達成したか?」を判断したとき、同じ結論に至れること(客観的な検証可能性)

Level 1:数値指標。 売上○○億円、不良率0.3%以下、顧客満足度90点——。最も明快で。目標設定できるならこれに越したことはありません。

Level 2:状態目標(「Being」の考え方)。 「全部門がDXツールを日常業務で活用し、紙の申請書がゼロになっている」——。数値ではありませんが、達成したかどうかは誰が見ても判断できます。

Level 3:マイルストーン。 「Q2末にDXロードマップが経営会議で承認されている」——。特定の成果物やイベントの完了を目標設定するものです。完了条件が明確であれば、立派なKPIとして機能します。

落とし穴②:目標設定がKPI設定で「完了」と思ってしまう

二つ目の落とし穴は、目標設定においてKGIやKPIを設定した段階で完了したと錯覚することです。

「月間提案数20件」というKPIを掲げただけでは、メンバーの日々の行動は変わりません。「毎週火・木の午前に顧客を訪問する」という具体的な行動計画(What)まで落とし込んで初めて、行動が変わるのです。

目標設定のWhy→How→Whatの三層構造を思い出してください。

  • KGI(最終的なありたい状態のモノサシ)を達成するために
  • KPI(日々追いかける実際の目標)を動かすために
  • 行動計画(具体的にやること)を実行して
  • 定例会議で「KPIは動いているか?」を確認する

目標設定においてKPIの設定は「ゴール」ではなく、行動計画に移る前の「通過点」に過ぎないのです。

落とし穴③:目標設定ですべての指標をKPIにしてしまう

三つ目の落とし穴は、目標設定の過程で分解した指標のすべてをKPIにしてしまうことです。

KGIを構成要素に分解していくと、多くの指標が見つかります。売上を分解すれば、客数、客単価、提案数、成約率、ヒアリング件数、商談化率——。しかし、これらすべてをKPIとして目標設定すれば、焦点がぼやけます。

管理職研修でお伝えしている目標設定の鍵は、KPIとは「今、何に集中すべきか」を示す羅針盤であるという考え方です。分解した指標のうち、最もインパクトが大きく、かつ自分たちの行動で改善可能なものだけを選び出す。この「選択と集中」が、目標設定の品質を決めます。

目標設定において「モノサシ」は「目的」に従属する

三つの落とし穴に共通しているのは、目標設定においてKGI・KPIを「本体」と捉えてしまう誤りです。

しかし、KGI・KPIはあくまで「モノサシ」です。考え抜いた「ありたい状態」を検証するための道具であり、それ自体が目的ではありません。

モノサシを先に決めてしまうと、測れるものしか目標設定の対象にならなくなります。 順序を間違えないことが肝要です。まず「ありたい状態」を描き、次にそれを測るための指標を設定する。

この順序を守るだけで、目標設定における指標設計の品質は格段に向上します。

管理職研修で学ぶ「KPIこそが実際の目標」という視点

最後に、管理職研修で特に重視してお伝えしている目標設定のポイントをご紹介します。

日々のマネジメントにおいて、KPIこそが「実際の目標」です。

KGIは組織の「ありたい状態」を測る最終的なモノサシであり、期末に振り返るものです。一方、KPIは日常の目標設定として日々追いかけるものです。

定例会議で確認すべきは、「KPIが改善方向に動いているかどうか」です。KPIが動いていれば、行動計画は機能しています。動いていなければ、施策の方向性を修正する。

KGI→KPI→行動計画の三層構造を意識し、定期的にKPIの推移を確認すること。それが、目標設定を「紙の上の数字」から「組織を動かす仕組み」に変えるための、管理職の実践です。

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Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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