──「管理」だと思っている限り、組織は弱くなる
はじめまして。
株式会社2E Consulting代表の山本哲郎です。
管理職育成の現場で、私は何度も同じ光景を見てきました。
管理職になった途端、急激に仕事が増える。
- 会議が増える
- 承認が増える
- 調整が増える
- 評価業務が増える
そして気づけば、「自分の仕事」ができなくなっている。
その結果、多くの方がこう思い始めます。
「管理職とは、部下を管理する仕事なのだろう」
しかし——
この理解こそが、組織を弱くする最大の誤解です。
「マネジメント=管理業務」という誤解
多くの人が無意識に抱いている前提があります。
- 勤怠を確認する
- 業務を割り振る
- 数字を追わせる
- 進捗を詰める
- 評価をつける
これがマネジメントだ、と。
確かに、これらは管理職の仕事の一部です。
しかし、それは手段であって本質ではありません。
ここを取り違えた瞬間、
マネジメントは「作業」に堕ちます。
そして、組織は疲弊します。
マネジメントの本質とは何か?
私はマネジメントを次のように定義しています。
マネジメントとは、長期的な組織成果を最大化する営みである。
重要なのは「成果」よりも、
成果を“持続的に”生み出し続けることです。
短期的な数字の達成ではありません。
未来を含めた成果です。
なぜ「長期」が重要なのか
短期成果を出す方法はあります。
- 強いプレッシャーをかける
- 過度な目標を課す
- 恐怖で統制する
- 長時間労働を強いる
一時的に数字は伸びるでしょう。
しかしその裏で、未来の成果は削られています。
短期成果偏重の組織では、次の現象が起こります。
- 離職率の上昇
- 情報の隠蔽
- 挑戦の減少
- 保身的行動の増加
- 本音の消失
数字はあっても、組織の土壌が崩れていきます。
「短期成果至上主義」が招いた現実
象徴的な事例が、東芝の不正会計問題です。
過度な目標設定のもと、達成を強要された現場は追い詰められ、粉飾決算へと至りました。
短期的には数字が整っても、長期的には信頼を失いました。
また、ビッグモーターの不祥事も同様です。
短期利益を優先した結果、組織的な不正が発生し、ブランド価値は大きく毀損しました。
これは極端な事例に見えるかもしれません。
しかし構造は、多くの組織に潜んでいます。
短期数字に追われ、長期成果を見失う。
この構造こそが、組織を内側から蝕みます。
「管理職」という翻訳が生んだ構造的誤解
英語の manage には
「何とか成し遂げる」
という意味があります。
つまり manager とは、本来
成果を成し遂げる人
です。
しかし日本では「管理職」と訳された。
その結果、
- 管理=チェック
- 管理=監視
- 管理=統制
というイメージが定着しました。
そして管理職は、
- ハンコを押す人
- チェックする人
- 詰める人
という役割に矮小化されてしまったのです。
本来の役割——
未来を設計し、組織を成果へ導くこと——が後景に退きました。
マネジメントは「未来を創る行為」である
私は、マネジメントをこうも表現します。
マネジメントとは、未来を創る行為である。
営業部のマネージャーであれば、
- 来期の売上をどう作るか
- 3年後にどの市場で戦うか
- どの人材をどう育てるか
- 組織能力をどう強化するか
これらを設計し、仕組みに落とし込むことが本質です。
日々の管理業務は、そのための「手段」にすぎません。
短期と長期のバランスを取る「眼」
現実は単純ではありません。
短期成果と長期成果は、しばしばトレードオフになります。
- 短期を優先すれば、長期が削られる
- 長期投資をすれば、当面の数字は落ちる
だからこそ管理職に求められるのは、
時間軸を持った意思決定
です。
今の意思決定は、
未来の成果を育てているのか、削っているのか。
この問いを持てるかどうかで、組織の未来は変わります。
自分への問い
- あなたのマネジメントは「管理」に偏っていないか?
- その成果は、未来の成果を削っていないか?
- あなたの仕事は「管理」か?それとも「未来を創る行為」か?
マネジメントは、単なる役職ではありません。
それは、組織の未来を預かる営みです。
管理にとどまるか。未来を創るか。
その選択は、いまこの瞬間から始まっています。
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