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「ロジカルシンキングは難しい」という自己矛盾──研修で伝えた”5つの力”

ロジックツリー、MECE、ピラミッド構造──。こうした用語を聞いただけで苦手意識を持つ方は少なくありません。しかし、「ロジカルシンキングは難しい」という認識そのものが、実は大きな矛盾を抱えています。今年実施した「ロジカル・コミュニケーション」研修を振り返りながら、その理由と、私たちがたどり着いた「5つの力」という解決策についてお伝えします。

「ロジカルシンキングは難しい」は本当か?

今年はありがたいことにご縁があり、当社のコンテンツを活用して、数社のお客さまに新入社員向けの「ロジカル・コミュニケーション」研修を実施する機会をいただきました。普段は管理職研修を中心にお仕事をしているため、新入社員研修の時期である4月は比較的落ち着いた日々を過ごすことが多いのですが、今年はこうしたご依頼をいただき、フレッシュな気持ちで登壇することができました。

「ロジカルシンキング」と聞くと、どうしても堅苦しくて難しいというイメージが先行しがちです。ロジックツリー、MECE、ピラミッド構造……。こうしたフレームワークの名前を並べられると、それだけで身構えてしまう方も多いのではないでしょうか。研修の冒頭でも、「正直、苦手意識があります」と打ち明けてくださる参加者の方は少なくありません。

しかし、ここでよく考えてみてください。「ロジカルに考えて伝える」とは、つまり複雑なことを整理して、相手に分かりやすく伝えるということです。分かりやすく伝えるための方法論そのものが「難しい」というのは、そもそも自己矛盾ではないでしょうか。本来、ロジカルシンキングとは物事をシンプルにするための技術です。その技術自体が難解であってよいはずがありません。「難しい」と感じてしまうのは、ロジカルシンキングそのものの問題ではなく、それを伝える側の整理の仕方に問題があるのではないか──私たちはそう考えました。

「ロジカルに書くには、論理的に書けばいい」?

ここで少し、私自身の体験をお話しさせてください。

会社員時代、文章の書き方に悩んでいた私は、先輩に「ロジカルに書くには、どうしたらよいですか?」と尋ねたことがあります。返ってきた答えは、「論理的に書けばいいんだ」。それでは分からないので、「では、論理的に書くにはどうしたらよいですか?」と聞くと、「ロジカルに書けばいいんだ」。ロジカル→論理的→ロジカル……。まるで禅問答のようなやり取りが続き、結局、具体的な方法は何も分からないまま会話が終わってしまいました。

今思い返せば、その先輩も決して意地悪で言ったわけではないのでしょう。おそらく、自分自身が感覚的にできてしまうことを、言語化して他者に伝える術を持っていなかったのだと思います。

実は、これこそがロジカルシンキングをめぐる最大の課題です。「できる人」ほど、なぜできるのかを体系的に説明できない。結果として教わる側は「やっぱり難しい」「自分にはセンスがない」と感じてしまう。こうした悪循環が、ロジカルシンキングに対する苦手意識を再生産し続けてきたのではないでしょうか。

暗黙知を形式知に変える──「5つの力」

では、どうすればこの悪循環を断ち切れるのか。答えはシンプルです。「論理的に伝えるとはどういうことか」を体系的に整理し、誰でも確認できるチェックリストにすればよいのです。暗黙知を形式知に変換する。特別な才能やセンスがなくても、手順に沿って確認していけば、論理的な伝え方に近づける。そんな仕組みを作ることが大切です。

当社はこの考え方に基づき、「論理的に伝える」ためのポイントを「5つの力」として体系的にまとめました。具体的な内容は研修でお伝えしていますが、文章を書くとき、プレゼン資料を作るとき、人前で話すとき──あらゆるコミュニケーションの場面で「ここを押さえれば大丈夫」と立ち戻れる基盤となるものです。

研修では、この「5つの力」を座学だけでなく演習を交えて体験していただいています。頭で理解するだけでなく、実際に手を動かし、自分の文章やプレゼンに当てはめてみることで、「なるほど、こういうことか」という腹落ち感が生まれます。受講者の方々の表情が研修の前と後で明らかに変わる瞬間は、講師として何よりうれしい瞬間です。

新入社員に伝える意義

今年の研修では、特に新入社員の皆さまに「5つの力」をお伝えする機会に恵まれました。社会人としてのキャリアをスタートさせたばかりの方々が、今後何年にもわたって立ち返れるフレームワークを手にしてくださったことは、私たちにとって大きな喜びです。

ロジカルに伝える力は、一度身につければ一生使えるスキルです。業種や職種が変わっても、役職が上がっても、コミュニケーションの基盤であることに変わりはありません。メールひとつ、会議での発言ひとつをとっても、論理的に整理されているかどうかで、相手に与える印象は大きく変わります。キャリアの早い段階でこの基盤を持てることは、周囲からの信頼を積み重ねていくうえで、大きなアドバンテージになるはずです。

若い世代にスキルを伝える喜び

普段、マネジメントの課題に直面している管理職の皆さまに寄り添い、課題解決の糸口をお渡しする仕事にも、大きなやりがいを感じています。しかし、前途洋々で、前向きに未来だけを見つめている若い世代にスキルを伝えることには、また違った楽しさがあります。

吸収力が高く、素直に学びを受け止めてくれる。教えたことがすぐに表情や行動に表れる。研修中に目の色が変わる瞬間がある。午前と午後で別人のようにアウトプットの質が変わる方もいらっしゃいます。そのエネルギーに触れるたびに、「伝える」という仕事の醍醐味を改めて実感しますし、同時に私たち自身も学ばせていただいているのだと感じます。

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研修を終えた彼ら一人ひとりが「5つの力」を武器に、自らキャリアを切り拓き、充実した人生を歩んでいく──。そんな未来を心から願いながら、これからも「ロジカルに伝える力」をお届けし続けていきたいと思います。「ロジカルシンキングは難しくない」。その確信を一人でも多くの方に届けることが、私たちの使命です。

Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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