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会議の準備が9割!「目的と終了条件」の設定法

「この会議、何のためにやっているんだろう?」「また同じ話が繰り返されている……」——管理職研修の現場で受講者にヒアリングすると、こうした声が必ずと言っていいほど挙がります。会議改善の悩みは、管理職に共通する課題のなかでも常にトップクラスです。

しかし、会議が長引いたり、何も決まらなかったりする原因の多くは、当日のファシリテーションにあるのではありません。その根本は「事前の準備不足」、なかでも「会議の目的と終了条件が明確に設定・共有されていないこと」にあります。

管理職研修で最初に押さえるべき原則は、「会議の質は、始まる前に決まっている」というものです。本記事では、管理職が今すぐ実践できる「目的と終了条件の設定法」を、具体例とステップを交えながら徹底解説します。

1. なぜ「目的のない会議」が繰り返されるのか

目的のあいまいな会議が生まれる最大の理由は、「主催者の頭の中では明確でも、参加者には伝わっていない」という状態にあります。主催者が「方向性を共有したい」と思っていても、参加者は「何かを決めに来た」と思って参加することがあります。この認識のズレが、議論の噛み合わなさや時間超過を生み出します。

管理職研修でよく取り上げられる「ダメな会議あるある」には、次のようなものがあります。

  • 議論が脱線し、気がつけば全然関係のない話になっている
  • 「で、何が決まったの?」が毎回繰り返される
  • 参加者がパソコンで内職をしながら「聞いてるふり」をしている
  • 時間通りに終わらず、次の予定に影響が出る
  • 翌週の会議で先週と同じ議題が再び登場する

これらはすべて、「目的と終了条件が明確に設定・共有されていない」という準備不足から生じます。管理職研修でこのテーマを学ぶことの価値は、こうした「ダメな会議」のパターンを根本から断ち切れる点にあります。

2. 「目的」と「終了条件」の違いを正確に理解する

会議の「目的」とは

会議の目的とは、「この会議を開く理由・意図」のことです。管理職研修では「会議のWhy(なぜ開くか)」とも表現されます。

目的の例:

  • 新製品の販売戦略について意見を集める
  • Q3の進捗を確認し、課題を整理する
  • 新入社員の配属先を決定する

目的は「動詞+名詞」の形で表現するのが効果的です。「〜について話し合う」「〜を決定する」「〜を確認する」のように、何をするための会議かを明示することがポイントです。

会議の「終了条件」とは

終了条件とは、「この会議が終わったときに、何が達成されていれば成功か」という具体的な状態のことです。管理職研修では「会議のゴール」とも呼ばれます。目的が「What(何をするか)」なら、終了条件は「Done(どこまで完了したら終わりか)」です。

終了条件の例:

  • 「新製品の販売戦略について、3つ以上の施策案が挙がり、優先順位がついている」
  • 「Q3の遅延案件について、各担当者の対応策と期限が決まっている」
  • 「新入社員の配属先が全員分確定し、担当者が了承している」

終了条件を設けることで、会議が「何かを話し合う場」から「何かを達成する場」へと変わります。参加者も「この会議で自分は何を達成すべきか」が明確になり、準備や発言の質が格段に向上します。これは、当社が提唱する「組織対話力」の観点からも、最も基本的かつ重要な実践です。

3. 終了条件の3タイプを使い分ける

管理職研修で学ぶ終了条件には、会議の種類に応じた3つのタイプがあります。この分類を知っておくと、目的に合った終了条件を素早く設定できるようになります。

タイプ会議の種類終了条件の例
決定型意思決定・承認会議「〇〇の方針が合意・決定されている」
発散型ブレインストーミング・課題整理「〇件以上のアイデア・課題が出揃っている」
確認型進捗報告・情報共有「全員が現状を共有し、対応が必要な課題が特定されている」

管理職研修での実践ポイントは、「会議を設定する前にこの3タイプのどれかを選ぶ」習慣を持つことです。タイプが決まると、自然と適切な目的と終了条件が導き出されます。

4. 目的と終了条件の設定3ステップ

ステップ1:「この会議で何を達成したいか」を自分の言葉で書き出す

会議を設定する前に、必ず「この会議の終了時にどんな状態になっていたいか?」を紙やメモに書き出してください。書き出す行為によって、自分の中での目的がより明確になります。「なんとなく話し合いたい」という状態で会議を設定するのが、ダメな会議の最大の原因です。

ステップ2:アジェンダに目的と終了条件を明記する

目的と終了条件が固まったら、アジェンダ(進行表)の冒頭に必ず記載します。アジェンダの最初の行に「【会議の目的】〇〇」「【終了条件】〇〇が決定していること」と書くだけで、参加者の事前準備の質が変わります。管理職研修では、この「アジェンダへの明記」が最も即効性のある改善策のひとつとして紹介されます。

ステップ3:会議の冒頭で声に出して共有する

会議当日、開始直後に次のように宣言することを管理職研修では強く推奨しています。

「本日の会議の目的は〇〇です。終了時点で△△が決まっていることを目指します。終了時間は〇時〇分です。」

たったこれだけで、会議の空気は変わります。参加者全員が「何を達成するための時間なのか」を共有した状態で議論が始まるため、脱線が減り、発言の密度が上がり、時間内に成果が出やすくなります。管理職研修では「会議の最初の1分間が、その会議の質を決める」と言われる所以はここにあります。

5. 実践で変わること——管理職研修受講者の声

管理職研修の受講者が目的と終了条件の設定を実践し始めると、次のような変化が報告されています。

  • 会議の所要時間が平均20〜30%短縮された
  • 「同じ話題を繰り返す会議」が激減した
  • 参加者の満足度が上がり、「あの会議は参加する価値がある」と言われるようになった
  • 決定事項が3W(Who/What/When)で記録され、実行に移されるケースが増えた
  • 部下から「この会議で何を決めればいいですか?」と事前に確認してくるようになった

これらはすべて、「目的と終了条件の明確化」というシンプルな準備の変化によってもたらされます。管理職研修において、参加者の行動変容が最も早く現れる施策のひとつがこの取り組みです。

6. よくある失敗パターンと対策

失敗パターン①:目的が抽象的すぎる

「来期の戦略について話し合う」という目的は抽象的すぎて、参加者は何を準備すればよいかわかりません。管理職研修では、目的は「来期Q1の重点施策を3つ選び、担当者と期限を決める」のように具体化することが求められます。

失敗パターン②:終了条件が「完了」を想定していない

「意見交換をする」「共有する」といった終了条件は、「達成できたかどうか」が判断しにくいものです。「〜が決まっている」「〜が合意されている」のように、観察・判断可能な状態で設定しましょう。

失敗パターン③:設定したが参加者に伝えない

目的と終了条件を設定しても、参加者に伝えなければ意味がありません。会議招集メール(またはチャットツールの招集メッセージ)に必ず記載し、当日の冒頭でも確認する習慣を身につけましょう。なお、会議参加者の絞り込みと目的の共有はセットで行うと、より効果的です。

失敗パターン④:毎回同じ目的設定をしてしまう

「毎週月曜の定例会議だから、同じ目的でいい」という慣性が、形骸化した会議を生み出します。管理職研修では「定例会議こそ、毎回目的と終了条件を見直す」ことが推奨されます。先週と今週では状況が異なるため、目的も変わって当然です。

まとめ

「会議の準備が9割」という言葉が示す通り、目的と終了条件の明確化は、管理職が身につけるべき会議ファシリテーションの基本中の基本です。どれほど優れた当日のファシリテーションスキルがあっても、この準備が欠けていれば会議は成果を出しにくくなります。

まず今日から実践できることとして、次の会議を設定する前に「この会議の終了時点でどんな状態になっていたいか?」を一文で書き出してみてください。それだけで、会議の質は確実に変わり始めます。

次の記事では、目的・終了条件とともに準備すべき「アジェンダ(進行表)の作り方」を解説します。準備の3要素(目的・終了条件・アジェンダ)を揃えることで、管理職研修で学ぶ会議の質は格段に向上します。

📖 会議ファシリテーション完全ガイド ─ シリーズ全10回

  1. 会議ファシリテーションの基本|理想のファシリテーターとは何か
  2. 【本記事】会議の準備が9割!「目的と終了条件」の設定法
  3. アジェンダなき会議は失敗する|進行表の作り方
  4. 会議参加者を絞り込む技術|本当に必要な人だけにする方法
  5. 全員が発言する会議のつくり方|ポストイット活用術
  6. 「できない理由」から「どうすればできるか」へ|前向き議論の引き出し方
  7. 議事録リアルタイム共有でホワイトボード活用|可視化ファシリテーション
  8. 3W(Who・What・When)の徹底|決定事項を実行につなげる
  9. 会議のフォローアップとPDCA|組織を動かす約束管理術
  10. 会議力チェックリスト14項目|組織の対話力レベルを上げる実践ガイド

Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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