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【管理職研修】全員が発言する会議のつくり方―ポストイット活用ファシリテーション術

📚 この記事は「会議ファシリテーション完全ガイド」シリーズの第5回です

第4回「参加者を絞り込む技術」まで準備編を学びました。第5回からはいよいよ当日の進行(ファシリテーション)編です。まず最初のテーマ、「全員発言」の実現方法を解説します。

「会議で特定の人しか発言しない」——管理職研修の場で最もよく挙がる悩みのひとつです。上司が話し、部下は黙って聞いている。声の大きいメンバーが議論を支配し、他のメンバーは「どうせ言っても……」と思っている。こうした会議では、組織が持つ多様な知恵が全く活かされません。

なぜ人は会議で発言しないのでしょうか。そして、どうすれば「全員が積極的に発言する会議」をつくることができるのでしょうか。本記事では、管理職研修で高く評価されている「ポストイット活用ファシリテーション術」を中心に、発言を引き出す具体的な手法を解説します。

1. 「特定の人しか発言しない」原因を探る

管理職研修では、発言が偏る原因を「準備段階の問題」と「当日のファシリテーションの問題」の2つに分けて整理します。どちらか一方だけを改善しても、根本的な解決にはなりません。

準備段階の3つの問題

ファシリテーション上の問題

  • 立場が上の人から発言させる:「上司の意見に合わせよう」という空気が生まれ、本音が出なくなる
  • 指名に頼りすぎる:「どうせ指名されるまで黙っていよう」という依存心を育ててしまう
  • 心理的安全性が低い:「変なことを言ったら笑われる」「批判されるかも」という恐怖が発言を阻む

管理職研修では、この準備とファシリテーションの両面を整えることが「全員発言の会議」への近道と位置づけられています。当社が提唱する「組織対話力」の観点でも、全員が声を持つ場をつくることは対話の質を高める根本です。

2. 「書いてから発言する」―ポストイット活用法

管理職研修で特に効果的とされているのが、「ポストイットに書いてから発言する」というアプローチです。やり方はシンプルです。

📝 ポストイット活用の基本手順

  1. 議題に対して、各自がポストイットに意見・アイデアを書く(2〜3分)
  2. 「立場が低い人から」順番に、書いた内容を声に出しながら発表する
  3. 発表したポストイットをホワイトボードや壁に貼り出す
  4. 全員の発表後、内容をグルーピング・整理して議論を深める

このシンプルなルールが、会議の空気を劇的に変えます。

なぜポストイットが効果的なのか

「頭に浮かんだことを、その場で口にする」のは、実は高度な技術を必要とします。アイデアはあるのに言葉にできない、周囲の空気に流される、タイミングを逃してしまう——こうした体験は多くの方に共感されるはずです。

「書く」というワンクッションを置くことで、次の効果が生まれます。

  • 考えを整理してから発言できる
  • 「書いたこと」があるので、発言のハードルが大きく下がる
  • 周囲の意見に流されず、自分の考えを維持できる
  • 後から議論の内容を可視化・整理しやすい

心理学研究でも、「集団で自由に発言するブレインストーミング」より「個人で書き出してから持ち寄る方法」のほうが生産性が高いことが示されています。集団ブレストは「発言の順番待ちでアイデアを失う」「評価不安」「社会的手抜き」という3つの阻害要因を持つためです。管理職研修でこの知見を学ぶことで、会議設計の考え方が根本から変わります。

3. ポストイット活用の実践的なコツ

コツ①:大きめのサイズ+太めのサインペンを使う

小サイズのポストイットにボールペンで書くと、貼り出したときに読みにくくなります。100mm×75mm以上のポストイットに、マジック・サインペンで大きく書くのが基本です。ホワイトボードに貼って全員で確認するケースでは特に重要です。

コツ②:1アイデア=1枚のルールを徹底する

複数の意見を1枚に書いてしまうと、後から整理しにくくなります。「1つのアイデア・意見につき1枚」というルールを徹底します。このルールがあることで、後のグルーピング作業が容易になり、議論の構造化がしやすくなります。

コツ③:制限時間を明確に設ける

「2分間で思いつく意見をできるだけ多く書いてください」のように、制限時間を明確にします。時間制限があることで集中力が高まり、量も増えやすくなります。管理職研修では「まず量を出してから質を上げる」という順序が重要と教えられます。

コツ④:オンライン会議ではデジタルツールを活用する

リモート・ハイブリッド会議では、Miro・FigJam・Jamboardなどのデジタルホワイトボードツールを使えば同様の効果が得られます。各自がテキストカードを書いて貼り出す方式は、物理的なポストイットと同じ手順で実施できます。管理職研修でも、オンラインでのポストイット活用は標準的な手法として取り上げられています。

4. 発言順序のルール「立場が低い人から」

発言の順番は、会議の空気を大きく左右します。管理職研修では「立場が強い人や声が大きい人が先に話すと、他の人は無意識のうちに意見を調整したり、本音を飲み込んでしまう」という点が繰り返し強調されます。

「立場が低い人から発言させる」ルールを設けることで、次の変化が起きます。

  • 若手・新人の意見が先に出るため、「上司への忖度」が生まれにくくなる
  • 多様な視点が最初に示されるため、議論の幅が広がる
  • 全員が「自分も発言すべき存在だ」と感じるようになる
  • 管理職自身も「部下の意見を聞いてから自分の考えを述べる」習慣が身につく

このルールは特に、ブレインストーミング・問題解決会議・振り返り会議で大きな効果を発揮します。最終的な3W(Who/What/When)の決定は管理職が行うとしても、そこに至るまでの意見出しの場面では、このルールを徹底することが重要です。

5. 心理的安全性を高めるファシリテーターの言葉

発言を促すためには、ファシリテーターの言葉遣いも重要です。管理職研修では次のような「発言を歓迎する言葉」を身につけることを推奨しています。

  • 「どんな意見も正解です。まず出してみましょう」
  • 「今はアイデアを出す時間です。批判なしでいきましょう」
  • 「〇〇さん、面白い視点ですね。もう少し聞かせてもらえますか?」
  • 「少数意見こそ大切にしたい。〇〇さん、どう思いますか?」

一方で、発言を萎縮させる言葉も意識的に避ける必要があります。「それは現実的じゃない」「以前もその話があったけど…」「それは○○の問題では?」といった否定・批判の言葉は、一瞬で発言しやすい空気を壊してしまいます。管理職研修では「ファシリテーターの一言が、チームの心理的安全性を作りも壊しもする」と言われます。

6. ポストイットが特に有効な会議の種類

ポストイット活用ファシリテーションが特に効果を発揮するのは次のような会議です。管理職研修ではシーン別に使い分けることを推奨しています。

会議の種類 ポストイットの使い方
問題・課題解決会議 「何が問題か」「どんな解決策があるか」を広く出す場面
ブレインストーミング 新商品アイデア・改善提案など多数のアイデアを集める場面
振り返り会議(KPT・YWT) 良かったこと・改善点・試したいことを全員から引き出す場面
目標設定会議 各メンバーの考える優先課題・目標を可視化する場面

ただし、報告のみの進捗確認会議でのポストイット活用は効果が薄いため、意見を募る場面を適切に選んで使いましょう。

まとめ

「全員が発言する会議」は偶然に生まれるものではありません。管理職が適切な準備を整え、ファシリテーションの技術を使って「発言しやすい場」を意図的に設計することで初めて実現します。

「ポストイットに書いてから発言する」手法と「立場が低い人から発言する」ルールの組み合わせは、管理職研修で最もシンプルかつ効果的な手法のひとつです。準備のコストも低く、明日からでも実践できます。ぜひ次の会議から試してみてください。

次の記事では、発言は引き出せたものの「できない理由ばかりが出てくる」という問題を解決する、「前向き議論の引き出し方」を解説します。

📖 会議ファシリテーション完全ガイド ─ シリーズ全10回

  1. 会議ファシリテーションの基本|理想のファシリテーターとは何か
  2. 会議の準備が9割!「目的と終了条件」の設定法
  3. アジェンダなき会議は失敗する|進行表の作り方と共有のポイント
  4. 会議参加者を絞り込む技術|本当に必要な人だけにする方法
  5. 【本記事】全員が発言する会議のつくり方|ポストイット活用術
  6. 「できない理由」から「どうすればできるか」へ|前向き議論の引き出し方
  7. 議事録リアルタイム共有でホワイトボード活用|可視化ファシリテーション
  8. 3W(Who・What・When)の徹底|決定事項を実行につなげる
  9. 会議のフォローアップとPDCA|組織を動かす約束管理術
  10. 会議力チェックリスト14項目|組織の対話力レベルを上げる実践ガイド

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Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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