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成果は「関係の質」から生まれる

数字を追うほど、数字が逃げる理由

「成果を出せ!」

強く言えば言うほど、なぜか成果が出なくなる。
これは、多くの現場で繰り返されているマネジメントの逆説です。

売上目標を掲げる。
KPIを細かく管理する。
未達成者を詰める。

一見、合理的に見える。

しかし現実には、

・会議の空気が重くなる
・発言が減る
・挑戦がなくなる
・離職が増える

そして、肝心の成果が伸び悩む。

なぜこんなことが起きるのでしょうか。


■ 成功循環モデルとは何か

その構造を明快に示したのが、MITのダニエル・キム教授が提唱した成功循環モデル(Success Cycle)です。

組織の成果は次の順番で生まれます。

① 関係の質
→ ② 思考の質
→ ③ 行動の質
→ ④ 成果の質

重要なのは、

成果は出発点ではなく、終点である

という点です。

多くのマネジャーは成果を起点にします。

しかし成果は「結果」であって「原因」ではありません。

そもそもマネジメントの定義自体を誤ると、ここでズレが生まれます。
▶︎ 関連記事:マネジメントとは何か──「管理」だと思っている限り、組織は弱くなる
https://2econsulting.co.jp/management1/


■ なぜ成果を追うと悪循環が起きるのか

成果を強く求めると、まず関係の質が下がります。

上司が詰める。
部下は防衛する。
会議が「報告と弁明の場」になる。

すると、思考が縮こまります。

「どうすれば挑戦できるか」ではなく
「どうすれば怒られないか」

へと意識が向きます。

行動も縮こまり、

・指示待ち
・忖度
・挑戦回避

が増える。

そして成果が落ちる。

これは能力不足ではありません。
構造の問題です。

短期成果主義が組織を壊す構造については、こちらでも詳しく解説しています。
▶︎ 関連記事:マネジメント不在が招く悲劇──組織は“ゆっくり壊れる”
https://2econsulting.co.jp/management2/


■ なぜ「関係の質」が出発点なのか

人は、関係の中で思考します。

信頼できる環境では、

・失敗を共有できる
・助けを求められる
・異論を言える

この状態で初めて思考の質が上がります。

この「関係の質」の定義については、こちらの記事で詳しく扱っています。
▶︎ 関連記事:「関係の質」とは何か?──飲み会では生まれない“信頼の構造”
https://2econsulting.co.jp/qualityofrelation/

関係が整えば、思考が変わる。
思考が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、成果が変わる。

これが成功循環です。


■ 組織は「人の集まり」ではない

バーナードは、組織の成立条件として

・共通目的
・協働意欲
・コミュニケーション

を挙げました。

協働意欲がなければ、組織は動きません。

関係の質が崩れると、この協働意欲が失われます。

組織の本質については、こちらもあわせてご覧ください。
▶︎ 関連記事:組織とは「人が集まること」ではない──バーナードの組織の3要件
https://2econsulting.co.jp/organization/


■ マネージャーの役割転換

ここで重要なのは、役割の再定義です。

マネージャーは、

「成果を出させる人」ではありません。

成果が出る環境を整える人です。

この視点転換が起きないと、
プレーヤー思考のまま、詰めるマネジメントになります。

役割転換については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎ 関連記事:マネージャーは「監督」である──プレーヤー思考を卒業する
https://2econsulting.co.jp/what_is_a_manager/

監督は自らホームランを打ちません。
チームが勝てる構造をつくります。

それがマネージャーの本質です。


■ 成果は遅行指標、関係は先行指標

多くの組織は遅行指標ばかりを見ています。

売上。利益。KPI。

しかし本当に見るべきは、

・会議で意見が出ているか
・異論が歓迎されているか
・失敗が共有されているか
・助けを求められているか

これらはすべて「先行指標」です。

関係が整えば、成果は後からついてきます。


🔍 今日からできるチェック

・メンバーの意見にまず「ありがとう」と言えているか?
・上司が会議で最も多く話していないか?
・失敗を共有できる文化があるか?

この問いへの答えが、
成功循環が回り始めているかどうかを示します。


■ まとめ

・成果は「関係の質」から始まる
・成果を直接追うと悪循環が起きる
・関係が整えば思考が変わり、行動が変わる
・マネージャーの役割は環境整備者である
・数字は遅行指標、関係は先行指標

数字を追うほど、数字は逃げる。

しかし関係を整えれば、
数字は後からついてくる。

それが、持続的に成果を生み続ける組織の構造です。


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Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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