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【管理職研修】Must・Will・Can——目標設定で「最も力強い目標」が生まれる交点とは


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はじめに:「やらされる目標」と「自分で選んだ目標」の違い

「上から降ってきた数字を、そのまま部下に割り振るだけ」——。

目標設定の時期になると、こうした状況に陥る管理職の方は少なくありません。上位組織から下りてきたKPIを部下の人数で割り、「今期はこれをお願いします」と伝える。部下は「わかりました」と応じるものの、その表情にはどこか「やらされをます」が漂っている。

この目標設定の構図には、根本的な問題が潜んでいます。

目標設定の結果が「組織からの一方的な指示」である限り、部下にとってそれは「やらされるノルマ」に過ぎません。一方、自分自身の意志や強みと結びついた目標設定がなされれば、それは「自分が選んだ挑戦」になります。

当社の管理職研修では、この違いを生み出す鍵としてMust・Will・Canという三つの座標軸を用いた目標設定の手法をお伝えしています。

目標設定の三つの座標軸を理解する

Must・Will・Canは、それぞれ異なる視点から目標設定を捉える座標軸です。

Must(組織からの期待・役割)とは、組織がその人に期待する成果や果たすべき役割です。会社の方針、部門の目標、職位に応じた責任——。これらは、組織の一員として求められる要素です。

Will(本人の意志・ありたい姿)とは、本人が実現したいと願う理想の姿です。「どんなビジネスパーソンになりたいか」「どんな価値を届けたいか」「どんな価値を届けたいか」——。自分自身の内面にある「ありたい姿」がWillです。

Can(本人の強み・能力)とは、本人が今持っている強みや能力です。これまでの経験で培ったスキル、得意な領域、他の人にはない知見——。すでに発揮できる力がCanです。

なぜ「三つの重なり」で目標設定をすべきなのか

三つの座標軸は、それぞれ単独で目標設定に用いても不十分です。

Mustだけの目標設定は、義務感だけのノルマになります。「会社が求めているから」という理由だけでは、内発的な動機は生まれません。

Willだけの目標設定は、独りよがりに終わるリスクがあります。自分がやりたいことと、組織が求めていることが噛み合わなければ、組織としての成果にはつながりません。

Canだけの目標設定は、現状の延長線上に留まります。今できることだけを目標にしていては、成長も挑戦も生まれません。

FRAMEWORK

Must・Will・Can フレームワーク

Must
組織の期待
Will
本人の意志
Can
強み・能力
最強の
目標

PITFALL

一つの軸だけで目標設定した場合の限界

パターン 状態 リスク
Mustだけ 会社に言われたからやる 義務感だけのノルマ → やらされをやる
Willだけ 自分がやりたいことをやる 独りよがり → 組織の成果に結びつかない
Canだけ 今できることだけやる 現状維持 → 成長も挑戦も生まれない
Must×Will×Can 組織の期待 × 自分の意志 × 強み 自分が選んだ挑戦 → 最大の推進力

管理職研修でお伝えしている目標設定の核心は、この三つが重なるところに、最も力強い目標が生まれるということです。

組織から求められていること(Must)の中に、自分がやりたいこと(Will)があり、それを実現するための強み(Can)を持っている——。この交点に立った目標設定がなされれば、「やらされるノルマ」ではなく「自分が選んだ挑戦」として、本人の内側から推進力が生まれるのです。

管理職研修で学ぶ目標設定の支援スキル:Mustを伝え、WillとCanを引き出す

では、管理職は目標設定においてこの三つの座標軸をどのように活用すればよいのでしょうか。

第一に、Sustを明確に伝えることです。

「あなたにはこういう成果を期待している」「チームとしてここを目指したい」——。組織からの期待を曖昧にせず、明確に言語化して伝えます。

ここで重要なのは、Sustの「背景」まで語ることです。「売上を上げてほしい」と言うだけでは、ノルマの押しつけになりかねません。「なぜ売上を上げる必要があるのか」「それは会社全体のミッションにどうつながるのか」「その先に、顧客にとってどんな価値があるのか」——。この文脈を目標設定の対話で伝えられるかどうかが、Mustを「意味のあるもの」に変える鍵です。

第二に、部下のWillを丁寧に引き出すことです。

「あなた自身はどうなりたいのか?」「この仕事を通じて、何を実現したいのか?」——。こうした問いかけを、1on1などの目標設定の対話の場で繰り返していきます。

Willは、一度の問いかけで明確に出てくるとは限りません。日々の対話の中で少しずつ引き出し、言語化を支援していくプロセスが必要です。

第三に、部下のCanを一緒に棚卸しすることです。

「あなたの強みをどう活かせるか?」「これまでの経験で、この目標設定に活かせるものは何か?」——。本人が自覚していない強みに気づかせることも、管理職の重要な役割です。

「組織レベル」の目標設定にもMust・Will・Canを活用する

Must・Will・Canは、個人の目標設定だけでなく、組織全体の目的を描く目標設定にも活用できます。

組織のWillは、リーダーであるあなた自身の「思い」から始まります。どんな組織を創りたいのか。ただし、独りよがりにならないよう、メンバーとの対話を通じて共有し、育てていくことが不可欠です。

組織のCanは、意識して棚卸しをしなければ見えてきません。どのようなメンバーがいて、それぞれの強みは何か。組織として成し遂げてきた実績は何か——。これらを丁寧に掘り下げることで、組織の「らしさ」が浮かび上がります。

組織のMustには、「会社からの期待」と「社会・顧客からの期待」の二つがあります。自部門の目標設定が会社全体のミッションにどうつながっているのか。そして、自部門の仕事が最終的に誰のどんな価値につながっているのか。このストーリーを語れることが、管理職に求められる力です。

まとめ:目標設定は、対話を通じて「三つの交点」を見つけるプロセス

管理職研修でお伝えしている目標設定の最大のポイントは、Mustを一方的に押しつけることではなく、Must・Will・Canの重なりを、上司と部下が対話を通じて見出すプロセスであるということです。

こうした目標設定を通じて見出された目標は、部下にとって「やらされるノルマ」ではなく「自分が選んだ挑戦」になります。そして、その挑戦に向かって自分を律するとき、人は最も大きく成長するのです。(「目的」と「目標」の違いについても、あわせてお読みください)

次の目標設定面談で、ぜひ試してみてください。Mustを伝えるだけで終わらせず、「あなたはどうなりたいか?」「あなたの強みをどう活かせるか?」と問いかける。その対話の中に、最も力強い目標設定の出発点が見つかるはずです。

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Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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