2E式管理職養成プログラム

「自己基盤力」をベースに

管理職を“罰ゲーム”にしないための、マネジメント再設計。

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管理職研修で教えるべき「自己肯定感」と「自己効力感」の違い

管理職研修でメンタルヘルスやレジリエンスについて触れる際、「自己肯定感」という言葉がよく登場します。しかし、自己肯定感だけでは、管理職に求められる「変化を起こす力」は育ちません。管理職研修においては、「自己肯定感」と「自己効力感」を明確に区別して教えることが極めて重要です。この二つは似ているようで、実はまったく異なる心理的概念だからです。

自己肯定感とは、「ありのままの自分を受け入れる感覚」のことです。成果を出せたかどうか、周囲からどう評価されているかに関わらず、自分という存在そのものに価値があると認める感覚です。親が子どもに無条件の愛を注ぐ姿を想像してみてください。勉強ができなくても、見た目がパッとしなくても、頑固であっても、仮に障がいを持っていても、親は子どもをそのままの存在として愛します。評価や条件をつけることなく、ただそこにいるだけで尊い存在として受け入れる。自己肯定感とは、この無条件の愛を自分自身に向ける感覚のことです。「できるかできないか」「うまくいったかどうか」といった結果にかかわらず、自分という存在そのものに価値があると認める。この自己肯定感は、自己基盤を築く上での出発点となります。

しかし、管理職が組織の中で変革を起こすには、自己肯定感だけでは不十分です。なぜなら、自己肯定感は「今の自分を受け入れる力」であって、「未来に向かって動き出す力」ではないからです。自己肯定感にとどまっている限り、「今のままの自分でいい」という安心感に留まってしまいます。無条件に自分を愛することと、自分の可能性を信じることは、似て非なるものなのです。たとえば、子どもが「プロ野球選手になりたい!」と夢を語ったとしましょう。親としてその子を心から愛していても、「うちの子じゃ無理かな」と心の中で思ってしまう。これは子どもへの愛はあっても、その可能性を信じる力は持てていない状態です。

ここで必要になるのが、自己効力感です。自己効力感とは、「自分はできる」と信じる力のことです。自己肯定感が「今の自分を受け入れる力」だとすれば、自己効力感は「未来の自分の可能性を信じる力」です。未来のコンフォートゾーンに飛び込んでいくためには、この自己効力感こそが必要不可欠な鍵となります。

自己肯定感 今の自分を受け入れる力 「自分の人生も悪くないな」 自己効力感 未来の可能性を信じる力 「自分ならきっとやれる」 コンフォートゾーンが未来へ移動 → ▼ 土台 ▼ その上に積み上げる
自己肯定感(土台)→ 自己効力感(推進力)の二段階アプローチ

注目すべきは、自己効力感には論理的な根拠が必要ないという点です。まだ見たことのない未来の可能性に、明確な根拠などあるはずがありません。「自信を持つにはまず実績や裏付けが必要だ」と思い込む人が多いのですが、実はそれは順番が逆なのです。大切なのは「できるかどうか」ではなく「できると信じられるかどうか」。この「根拠のない自信」こそが、未来を切り拓く原動力です。

管理職研修では、まず自己肯定感の土台を築き、その上に自己効力感を積み上げていくプロセスが求められます。自分の人生を振り返り、過去をポジティブに再解釈することで自己肯定感を高め、続いて自分の強み・価値観・モチベーションの源泉を言語化することで自己効力感を育てていきます。自己効力感が芽生えた管理職は、自然と部下にも同じ感覚を伝播させることができます。「あなたならできる」と心から信じて伝える言葉には、上辺だけの激励とは比べものにならない力があるのです。

管理職研修で自己肯定感と自己効力感を区別して教えることの実務的な意義は非常に大きいものがあります。特に、新任管理職やプレイヤーから管理職に転身したばかりの人にとって、この区別は極めて重要です。プレイヤーとして優秀だった人が管理職になった途端に自信を失うケースは珍しくありません。これは、プレイヤーとしての自己効力感はあっても、管理職としての自己効力感がまだ育っていないからです。

こうした管理職に対して「あなたは優秀なプレイヤーだったのだから大丈夫」と励ましても、それは過去の実績に基づく他者評価であり、本質的な解決にはなりません。必要なのは、管理職としての新しい自己効力感を育てていくプロセスです。そのためには、まず「管理職としてのありたい姿」を描き、小さな成功体験を積み重ねていくことが効果的です。

管理職研修では、自己肯定感を高めるフェーズと自己効力感を高めるフェーズを明確に分けてプログラムを設計することをお勧めします。前半で自分史ワークや過去のポジティブな再解釈を通じて自己肯定感の土台を築き、後半で「自分を知る問い」への取り組みや将来ビジョンの策定を通じて自己効力感を育てていく。この二段階のアプローチが、管理職の内面的な成長を確実に支援します。

自己効力感が高まった管理職がチームに与える影響は計り知れません。「この人は本気で信じてくれている」と部下が感じたとき、チーム全体のエネルギーレベルは一気に上がります。根拠のない自信を持つことは、決して無謀なことではありません。むしろ、まだ見ぬ可能性に賭けるリーダーシップの本質そのものなのです。

管理職研修で自己効力感を高めるための具体的なアプローチとして、「小さな成功体験の積み重ね」があります。これは、バンデューラが提唱した自己効力感の4つの源泉のうち、最も強力とされる「達成経験」に基づくものです。管理職研修で大きなビジョンを描いたあと、それを小さなマイルストーンに分解し、一つひとつ達成していく設計が重要です。

たとえば、「チームのエンゲージメントを向上させる」という目標であれば、まず「今週、チームメンバー全員と5分間の雑談をする」という小さなステップから始める。それが達成できたら、「来週は一人ひとりに承認の言葉を掛ける」に進む。こうした小さな成功体験が積み重なることで、「自分にもできる」という自己効力感が着実に育っていきます。

また、管理職研修では「代理体験」も効果的に活用できます。同じ立場の他の管理職が成功している姿を見ること、あるいは管理職研修で成功体験を共有し合うことで、「あの人にできるなら、自分にもできるかもしれない」という感覚が芽生えるのです。管理職研修をグループ形式で実施するメリットのひとつは、まさにこの代理体験を自然に得られる点にあります。

管理職研修で自己肯定感と自己効力感の違いを教えることの最終的なゴールは、管理職が「自分はこの先も、きっとやれる」と心から信じられる状態をつくることです。この状態に到達した管理職は、組織の変化や困難に直面しても、不安に飲み込まれるのではなく、「これは自分が成長するチャンスだ」と捉えることができます。そして、その姿勢がチームメンバーにも伝播し、変化に強い、しなやかな組織が生まれていきます。管理職研修を通じて自己基盤力を高めた管理職は、組織にとって何よりも貴重な財産となるのです。

自己肯定感の土台の上に自己効力感を積み上げる。このシンプルな二段階のプロセスを管理職研修に組み込むことで、管理職は「今の自分を受け入れながら、未来の自分に期待できる」という理想的な心理状態を手に入れます。この状態こそが、管理職として最もパフォーマンスを発揮できるメンタルコンディションです。

自己肯定感の土台の上に自己効力感を積み上げる。このシンプルな二段階のプロセスを管理職研修に組み込むことで、管理職は「今の自分を受け入れながら、未来の自分に期待できる」という理想的な心理状態を手に入れます。この状態こそが、管理職として最もパフォーマンスを発揮できるメンタルコンディションです。

管理職研修で自己肯定感と自己効力感の違いを教え、その両方を育てるプログラムを導入すること。これが、変化の時代に求められる管理職育成のスタンダードです。

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Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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