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【管理職研修】目標設定の本質とは「未来から今を引き戻す力」——ありたい姿から逆算する思考法

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はじめに:「目標設定をしましょう」と言われたとき、何を思い浮かべますか?

「売上前年比110%」「コスト削減5%」「新規顧客獲得30社」——。

多くのビジネスパーソンにとって、目標設定とは「達成すべき数値を決めること」ではないでしょうか。期初に数値を設定し、期末にその達成率を振り返る。このサイクルを毎年繰り返している方も多いはずです。

しかし、その数値の先に、あなたが本当に実現したい組織の姿はあるでしょうか。

当社の管理職研修では、目標設定を「数値を決める作業」ではなく「未来を起点とした思考法」として捉え直すことから始めます。本記事では、組織に本質的な推進力を生み出す目標設定の考え方を解説します。(目標設定がない組織で何が起こるのかは前回の記事をご覧ください)

目標設定を「過去の延長線上」で行っていないか

多くの組織で見られる目標設定のパターンがあります。それは、「前年実績に一定の成長率を乗せる」というやり方です。

昨年の売上が10億円だったから、今年は11億円。不良率が0.8%だったから、今年は0.5%——。

このアプローチは一見合理的に見えます。しかし、ここには根本的な問題があります。過去の実績を起点に目標設定をしている限り、組織は「過去の延長線上」でしか動けないということです。

過去を起点にすると、発想は「今あるものをどう改善するか」に限定されます。漸進的な改善は得られても、組織を根本から変えるような飛躍は生まれにくくなります。

COMPARISON

二つの目標設定アプローチ

❌ 過去起点の目標設定

過去の実績(10億円)
↓ +10%
今年の目標(11億円)
=改善の延長線上に留まる

✅ 未来起点の目標設定

ありたい姿(業界No.1)
↓ 逆算
今やるべきこと(戦略転換)
=飛躍的な変革を生む

目標設定の力は、「ありたい姿」を起点にしたときに発揮される

管理職研修で繰り返しお伝えしている目標設定の原則があります。

まず、「私たちの組織は、1年後(あるいは3年後)にどんな状態になっていたいのか」を描く。その理想の状態から逆算して、今やるべきことを決める。これが、目標設定を「未来から現在を引き戻す力」として活用する考え方です。

この目標設定の思考法には、二つの大きな利点があります。

第一に、「やるべきこと」と「やらないこと」が明確になります。

品質管理、コスト削減、新製品開発、顧客対応、安全管理——。どれも大切ですが、すべてを同じ力配分で追いかけることはできません。「ありたい姿」が明確であれば、「今期、最も重視すべきことは何か」という判断基準が手に入ります。

目標設定とは、「選択と集中」を可能にする装置なのです。(「問題対応型」と「課題設定型」の違いも参考にしてください)

第二に、組織全体のエネルギーが一つの方向に束ねられます。

「ありたい姿」が共有されている組織では、メンバー一人ひとりが「自分の仕事がどこに向かっているのか」を理解できます。個々の判断にブレが生じにくくなり、組織としての一体感と推進力が格段に高まります。

目標設定が「選択と集中」を実現し、意思決定のスピードを上げる

「ありたい姿」を起点とした目標設定がなされた組織は、日常の意思決定が速くなります。

なぜなら、あらゆる判断の場面で「これは、ありたい姿に近づくことなのか?」という基準が使えるからです。新しい提案が上がってきたとき、リソース配分を検討するとき、トラブルへの対応方針を決めるとき——。すべての場面で、この基準が羅針盤として機能します。

逆に、この基準がなければどうなるか。判断のたびに迷いが生じ、声の大きい人の意見に引っ張られ、その時々の空気で方向が変わる。「朝令暮改」と揶揄されるような組織運営は、目標設定の不在から生まれるのです。

目標設定において、数値は大切。しかし数値だけでは足りない

ここで誤解のないように補足しておきます。数値による目標設定を否定しているわけではありません。数値は、進捗を客観的に測るための重要なツールです。

しかし、数値だけでは「なぜその数値を追いかけるのか」が見えません。「売上11億円」という数値の背後に、「顧客から最も信頼されるパートナーになる」という「ありたい姿」があってこそ、その目標設定に意味が生まれます。

数値は、ありたい姿に近づいていることを確認するための「モノサシ」です。モノサシそのものが目的になってしまうと、数字を追いかけること自体が自己目的化し、本来の方向性を見失うリスクがあります。

管理職研修でお伝えしている目標設定の基本原則は、まず「ありたい状態」を描き、次に「測る指標」を設定するという順序を守ることです。

まとめ:管理職の目標設定は「未来を起点にする」ことから始まる

目標設定とは、単なる「達成すべき数値を決めること」ではありません。

「ありたい姿(未来)」を起点に、今やるべきことを決めるための基準をつくること——それが目標設定の本質です。

過去の延長線上で考えるのではなく、未来から逆算して現在を設計する。この目標設定における思考の転換が、組織に新しい推進力をもたらします。

次に目標設定を行う際は、まず数値を考えるのではなく、「1年後、私たちの組織はどんな状態になっていたいか」という問いから始めてみてください。その答えの中に、組織を本当に動かす目標設定の出発点が見つかるはずです。

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Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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