管理職研修課題解決フローWHY型思考
課題解決の「順番」が結果を左右する
管理職研修の場でよく見られるのが、「とりあえず何かやってみよう」という行動優先の思考パターンです。問題や課題に直面すると、「まずは何をすべきか(WHAT)」に飛びついてしまいます。しかし、このアプローチでは根本的な解決に至らないことがほとんどです。この「やること」ばかり考える思考様式を「What型思考」と呼びます。
たとえば、「営業成績を伸ばしたい」という課題に対して、「とりあえず訪問件数を増やそう(WHAT)」という指示を出す管理職は少なくありません。しかし、「なぜ(WHY)営業成績を伸ばしたいのか?そもそも営業成績とは何なのか?」「そのWHY(目的)に対して、どのように(HOW)アプローチを変えるべきか」を先に考えなければ、訪問件数を増やしても成果につながらないことが多いのです。
管理職研修で「WHY → HOW → WHAT」という順番を徹底させることが、組織の課題解決力を底上げする鍵となります。
(目的・理由)
(方向性・戦略)
(具体的行動)
WHY:「なぜ」から始める——ゴールデンサークル理論との共鳴
「WHYから始めよ」という考え方は、サイモン・シネックが提唱した「ゴールデンサークル理論」とも一致します。多くの組織が「WHAT(何をしているか)」から発信するのに対し、卓越したリーダーや組織は「WHY(なぜやるか)」から発信します。
管理職研修でこのWHY→HOW→WHATの思考様式(Why型思考)を学ぶと、管理職は「なぜ自分たちはこの事業をしているのか」「なぜこの課題に取り組む必要があるのか」という根本的な問いを持ち続けることができます。これが「課題解決力」の出発点です。
「WHY」の問いは、課題の本質を捉えるための重要な起点です。「課題(ありたい姿)」を設定するためには、まず「自分たちはどこへ向かいたいのか(WHY)」を明確にする必要があります。
WHY(目的)はどうしても抽象的になります。そこで、その目的を目標に落とし込み、さらにその目標の中でどこに取り組むのか、具体的な的を定めることまでがWHYの範囲になります。使えるリソースは有限であり、効果的に資源を投じるためのプロセスです。この目標を絞り込むプロセスは戦略に該当しますが、非常に重要な部分なので、別途解説します。
HOW:「どのように」構造を作る
WHYで目的・理由・目標が明確になったら、次にHOW(どのように解決するか)を考えます。これは「戦術」に相当する部分です。
管理職研修では、このHOWの段階で「WHYに導く打ち手の方向性を具体的かつ論理的に構造化する」思考法を学びます。管理職としての役割は、WHYを実現に導くための構造を考え(HOW)、その上で具体的な施策に落とし込み(WHAT)、チームで実現するための役割分担までおこなうことです。
課題解決において、HOWの段階は再現性と効果の高い仕組みを作る重要なフェーズです。この段階を飛ばして直接WHATに進んでしまうと、「何をやってもうまくいかない」「効果はあったけど一過性であり、元の木阿弥」という悪循環に陥ります。
WHAT:「何を」具体的な行動に落とし込む
WHYとHOWが明確になって初めて、WHAT(具体的に何をするか)が意味を持ちます。このステップでは、「いつまでに」「誰が」「何を」「どの程度」するかという行動計画を具体化します。
管理職研修でよく強調されるのが、「WHATは最後に決める」という原則です。多くの管理職が、上司や経営層から「とにかくやれ」という指示を受けることがあります。しかし、たとえそのような状況でも、管理職として「このWHATはどんなWHYに基づいているのか」を自分なりに考え、WHYを逆算してチームに伝える姿勢が重要です。
「訪問件数を週10件に増やせ」「SNSを始めろ」「資料を改訂しろ」と、理由なく具体的行動を指示。WHYもHOWも不明確なまま動かす。
「なぜ成績が伸びていないか」を分析し、「どのアプローチを変えるか」を考え、「そのために何を具体的にするか」を指示。目的と方向性が一致している。
「矢印が繋がる」課題解決を目指して
管理職研修でこのフローを習得すると、「WHY・HOW・WHATの矢印が繋がっている状態」で課題解決を進められるようになります。逆に、どこかの矢印が切れていると、いくら動いても成果が出ない状態に陥ります。
管理職の重要な仕事のひとつは、チームメンバーに「なぜこれをやるのか」「どうすれば達成できるか」「具体的には何をすればよいか」を一本の線で繋いで伝えることです。このフローを自分自身が使いこなせるようになることが、管理職研修の核心的な目標です。
まとめ——「矢印が繋がっているか」を毎日問う習慣を
WHY→HOW→WHATの矢印が一本に繋がっているとき、管理職の言葉はチームに届き、行動が変わります。今日の指示やミーティングで「WHYを伝えているか」を自分に問いかけることが、管理職研修の学びを現場に根付かせる最も確実な方法です。
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