2E式管理職養成プログラム

「自己基盤力」をベースに

管理職を“罰ゲーム”にしないための、マネジメント再設計。

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「研修疲れ」を超える管理職研修 — 2E Consultingの設計思想

2E Consulting Insight|2026.05.10

「研修疲れ」を超える管理職研修

— 2E Consulting の設計思想 —

「管理職研修をやっても、現場の行動が変わらない」「受講者から “またか” という空気が漂う」——人事部長の方々から伺う悩みのトップ3に必ず入る声です。

私自身、三菱商事を退職後、問題解決研修に強みを持つ研修会社で年間2,000名以上に登壇してきました。そこで気づいたのは、ロジカルな思考力が高い受講者であっても、「会社が悪い」「上司が悪い」「経営者が悪い」と問題を他責化してしまうことがある、ということです。もともと熱い思いを持って参加していたはずの社員が、いつしか主体性を失い、受け身になっていく——この現実を目の当たりにして、「問題解決力を鍛える前に、もっと大事なことがあるのではないか」と確信しました。

研修が機能しない原因は、講師の質でも教材の中身でもありません。ほとんどが「設計の問題」です。本稿では、2E Consultingが管理職研修を設計するときに貫いている4つのポイントと、実際に成果が出た事例をお伝えします。

Point 01「自己基盤力」から整える

多くの研修は、いきなりスキル(ロジカル思考、1on1、問題解決)から入ります。しかし、受講者の心が「やらされ感」で固まったまま会場に座っているとき、どれだけ精緻な内容も右から左へ素通りしていきます。

私たちが最初に扱うのは「自己基盤力」——自己肯定感を土台に、自己効力感を持って未来へ踏み出す力です。「なぜ自分はこの研修を受けるのか」「自分はどんな管理職でありたいのか」を丁寧に問い直すことから始めます。

なぜ「土台」から始めるのか——脳の仕組みが教えてくれること

脳にはホメオスタシス(恒常性維持機能)という強烈な仕組みがあります。過去の成功体験がコンフォートゾーンになると、脳は新しい手法を「生存リスク」と見なし、全力で阻止しようとする。研修でどれだけ良いスキルを学んでも、現場に戻れば元の習慣に飲み込まれるのは、意志が弱いからではなく、脳の自然な働きなのです。

この仕組みを味方につける唯一の方法は、コンフォートゾーンそのものを「未来のありたい姿」へ飛ばしてしまうこと。Will(やりたいこと)・Can(自分らしさ・強み)・Must(求められていること)の3つの円を問い直し、「管理職としてのありたい姿」を本人が定義する。これができて初めて、コンフォートゾーンが未来へ移動し、行動変容が自然に起こり始めます。

これは精神論ではなく、デシとライアンの自己決定理論でも裏付けられています。自律性(Will)・有能感(Can)・関係性(Must)の3つの欲求がすべて満たされた時、人は「やらされ」から「自ら動く」状態に変わる——これが科学的なメカニズムです。

Key Concept

私はよく、これを「OS のアップデート」と表現します。Will-Can-Must を問い直して土台を整える——これが OS のアップデート。その上にスキル研修というアプリをインストールするからこそ、スキル研修が「やらされる苦行」から「喉から手が出るほど欲しい武器」に変わるのです。

この一段階を踏むことで、研修は「会社に受けさせられるもの」から「ぜひ受けたいもの」へ180度反転します。逆にここを飛ばすと、その後どれだけ高度なスキルを積み上げても、行動変容にはつながりません。順番が決定的に重要なのです。

Point 02詰め込まず、必要なスキルに絞る

研修設計の現場でよくあるのが、「あれも必要、これも必要」と詰め込むパターンです。マーケティング、財務、戦略、コーチング、ロジカル……気づけば「学んだはずだが、現場で何も使えない」状態になります。

中間管理職に求められる役割は、プレーヤーとして自ら成果を出すことではなく、「人を介して成果を最大化すること」です。だからこそ、プレーヤー時代の延長線上では務まりません。マインド(土台)・思考(戦略)・他者影響力(メンバーを動かす力)——プレーヤー時代には不要だった、まったく別次元の力が新たに求められるのです。

マネジメントに必要な力は、3つだけ

私たちは、管理職に求められる力を3つのピラミッドに整理しています。

マネジメントに必要な3つの力のピラミッド ACTION THINKING MINDSET 他者影響力 1on1対話 / 組織対話 論理的伝達 課題解決力 論理的に考え抜く力 自己基盤力 マネジメント観 / 働く目的 — モチベーションの源泉 — 部下の可能性を 引き出す 施策が論理的に 考え抜かれている 働く目的が明確で 意欲に溢れている
Fig.1 — 成果を出し続ける中間管理職の3つの力

「他者影響力」は、さらに1on1対話力(部下への向き合い方)と組織対話力(会議ファシリテーション)に分解されます。比喩的に言えば、1on1で100kgのメンバーを3人活かすのが個別マネジメントの世界。それを束ねて組織として1,000kgを動かせるようにするのが会議ファシリテーションの世界です。メンバーの強みを活かし、弱みを打ち消すことで、長期的な成果を最大化する——これが、プレーヤー時代には決して使わなかった「他者を介して成果を出す」技術の中身です。

この役割から逆算すると、本当に必要なスキルは絞り込めます。広く浅くではなく、本当に必要なスキルだけを深く学ぶ——これが現場で使えるスキルを育てる王道です。「あれもこれも」を捨てる勇気が、研修の質を決めます。

Point 03行動変容まで設計する

研修の最大の落とし穴は、「学んだ瞬間がピーク」になってしまうことです。会場では熱量高く、現場に戻った途端、目の前の業務に飲み込まれて元通り——多くの研修はここで力尽きます。

研修は楽しかった。でも、職場に戻ると忙しくて何もできなかった。

— 人事の皆さまが最も聞き飽きた、そして最も恐れている言葉

ロミンガーの法則が教える、設計の盲点

成人学習の世界ではロミンガーの法則が知られています。人がスキルを身につける割合は、講義 10%・フィードバック 20%・経験 70%。ところが従来の管理職研修は、講義の 10% にリソースを集中させ、最も効果の高い「フィードバック」と「経験」をおざなりにしてきました。これが「研修は楽しかったが、何も変わらない」の正体です。

ロミンガーの法則 – 70:20:10 講義 フィードバック 経験 10% 20% 70% ↑ 従来の研修が、おざなりにしてきた領域
Fig.2 — スキル習得の70:20:10構成(ロミンガーの法則)

グループコーチングという橋渡し

私たちはこれを設計段階で防ぐために、研修後のグループコーチング(GC)を必ず組み込みます。4人1組・90分のオンライン形式で、月1回、3〜6ヶ月かけて実践に伴走する仕組みです。事前に行動目標を実践し、当日は一人20分程度の発表+受講者と講師からのフィードバックを受ける——この「実践→フィードバック→実践」のループを回し続けます。

このGCには、実は科学的な根拠があります。教育心理学者ジョナセンの知識習得3段階モデルでは、第1段階(正解が明確)は説明と反復練習で、第3段階(正解がない)は経験・対話・内省でしか学べないとされています。マネジメントは正解のない営み——つまり「エキスパートレベルの学び」が必要であり、それは座学だけでは絶対に到達できないのです。

矢野和男氏の「トリニティ組織」研究も示唆的です。幸福度と生産性が高い組織には、上司とメンバー、メンバー同士の三角形の関係があるという。研修プログラムにこの「△の関係」を仕組みとして組み込むこと——これがGCの本質的な設計思想です。仲間と進捗を共有し、つまずきを言語化し、コーチが問いで伴走する。「学ぶ」と「やる」の間にある深い溝を、グループコーチングという橋で渡らせる。研修を点ではなく線で設計するからこそ、行動変容が起こります。

Point 04「過去の自分」で変化を可視化する

ここが、私たちが最もこだわるポイントです。

多くの企業が研修効果を点数化し、受講者同士を比較しようとします。しかし、マネジメントに唯一の正解はありません。100点満点の管理職像など存在しないのです。点数評価して他者と比較するのは、本質的に意味のない営みです。

「主観の変化」を可視化する、独自のアセスメント

そこで開発したのが、当社独自のマネジメント診断です。30問・約10分で受検完了。他社比較ではなく、「主観の変化」を可視化することに振り切りました。比較対象は他者ではなく、過去の自分。自己基盤力・課題解決力・他者影響力の3軸で、研修前と研修後の「仕事と部下への向き合い方」を測ります。

実際にある銀行の支店長研修(14名)で実施したところ、結果は次の通りです。

78.6%
事前診断で
「自身の課題を認識できた」
100%
事後診断で
「変化・気づきを実感」
+0.39pt
平均スコア向上
(2.07→2.46)

事前で「診断によって気づきが無かった」と答えた3名は、全員が研修後のマネジメント診断では「気づきが得られた」とスコアを改善させていました。受講者からは「自分のマネジメントの傾向を客観的に理解できた」「事後に『完璧主義』と診断され、本質を実感。改善の方向性が見えた」といった声が寄せられています。

「3ヶ月前の自分はこう答えていた。今の自分はこう答えている」——この差分を本人が見ることで、変化の実感と次の一歩が同時に生まれます。これは点数競争では決して生まれない、内発的な成長エンジンです。

Case Study某社で起きた、有機的な変化

実際にこの設計思想で支援した某社のケースをご紹介します。設計は4ステップ構成:

  1. 事前マネジメント診断 現状の向き合い方を可視化
  2. 2日間の集合研修 自己基盤力+必要スキル(課題解決力、1on1対話力、会議ファシリテーション)を集中的に扱う
  3. 月1回×4回のグループコーチング 目標設定と実践への伴走
  4. フォロー研修 学びの振り返りと、行動目標の再宣言

研修満足度をNPS(推奨度スコア)で測定したところ、2日間研修終了直後で +33.3 を示しました。これだけでも十分高い水準です。しかし特筆すべきは、その後の変化でした——4ヶ月後に +46.2 まで上昇したのです。

研修直後とGC後のNPS推奨度スコア変化 一般的な研修(減衰) +33.3 Day 2 直後 +46.2 4ヶ月後 +12.9 pt 上昇 研修前 Day 1 — GC ① ② ③ ④(月1回×4ヶ月)— 本プログラム(集合研修+GC) 一般的な研修(単発型)
Fig.3 — 研修直後とGC後のNPS推奨度スコア変化(室長層13名/2025年)

通常、研修のNPSは時間とともに減衰するのが定説です。研修直後の高揚感は、現場の現実に揉まれて急速に消えていく。ところが本プログラムでは、逆に時間とともに評価が育っていきました。個人単位で追跡しても、12名のパネルのうち6名がスコアを上昇させ、残り2名は高評価を維持。中には「6点(批判者)→ 10点(満点推奨者)」という劇的な転換を見せた受講者もいました。本人いわく、「Day2では今までのやり方が間違っていなかったと確認できただけだったが、4ヶ月後にはGCで意見交換したことで、自身の頭と気持ちの整理ができた」と。

これは、研修コンテンツそのものよりも、研修後にグループコーチングが有機的に機能していたことの証明です。学んだことを実践し、仲間と振り返り、成果を実感する——このサイクルが回ったとき、研修は「過去の思い出」ではなく「現在進行形の変化」として記憶されます。

Closing設計が変われば、研修は人生の転機になる

「研修をやっているのに変わらない」——その正体は、設計が研修当日で終わっているからです。

自己基盤力を整え(OSをアップデートし)、必要なスキルに絞り(3つの力に絞り込み)、行動変容まで伴走し(グループコーチングで習慣化し)、過去の自分との差分で変化を実感させる(マネジメント診断で主観の変化を可視化する)。この4つが揃ったとき、研修は受講者にとって単なる学びの場を超え、「人生の転機」になります。

「罰ゲーム化する管理職を救う」
——私たちが掲げるこのミッションは、
こうした設計思想の一つひとつの積み重ねの上にしか、
実現しないと信じています。

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About the Diagnosis

「2E式マネジメント診断」とは、
どんな診断なのか?

本記事でご紹介した診断について、設問の例・診断レポートのサンプル・3軸の評価ロジックを別記事で詳しく解説しています。実際の銀行支店長研修での活用データも掲載。導入を検討される前に、まずは中身をご覧ください。

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Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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