管理職研修組織変革企業成長
あなたの組織は今どのタイプか——自己診断のすすめ
管理職研修の場では、参加者に「自分の組織は今どのタイプに当てはまるか」を考えてもらうことが非常に有効です。なぜなら、タイプを認識することで初めて「自分たちに今何が必要か」が見えてくるからです。
前回の記事で解説した「問題(発生型)」と「課題(設定型)」という概念を組み合わせると、企業・組織は以下の4タイプに分類することができます。管理職研修でこのフレームを使うと、組織の現状分析が格段にしやすくなります。
タイプ①:夢と希望に燃えている企業
「問題」は発生しておらず、「課題」を達成すべく前向きに取り組んでいる状態。スタートアップや新規事業立ち上げ期が典型的な例。
このタイプの組織は、まだ「問題(発生型)」が表面化していないため、エネルギーのすべてを「課題(設定型)」の達成に注ぐことができます。「ありたい姿」に向かって猪突猛進できる、ある意味でもっとも純粋な状態です。創業直後のAppleが典型例で、ガレージからスタートしたジョブズたちは「世界を変えるコンピュータを作る」という課題だけを持ち、問題に縛られることなく前進し続けました。
しかし管理職研修の観点では、このフェーズの組織に対して「問題解決の仕組みを先に整えておく」ことも重要な課題として提示することができます。問題が起きてから慌てるのではなく、予防的に組織の基盤を強化しておくことが、長期的な成長につながります。
タイプ②:疲弊している企業
「問題」ばかりが発生し、それに追われるだけで「課題」を設定できていない状態。組織全体が消耗し、未来への展望が描けない。
このタイプがもっとも深刻です。「問題」が次々と発生し、管理職も現場もその対処に追われ続けます。「課題(ありたい姿)」を設定するどころか、日々の火消しで精一杯。多くの社員が「言われたことをやるだけ」の状態に陥り、組織から活力が失われていきます。実際、多くの日本企業がこのタイプに当てはまります。そして疲弊の度が過ぎた組織では、コンプライアンス意識の低下や隠蔽体質が生まれ、近年のNIDECのような組織的な不祥事につながるケースも出てきます。
管理職研修でこのタイプの特徴を学ぶと、参加者の多くが「これはうちのことだ」と気づきます。そして「なぜこうなるのか」という根本原因を問い直すきっかけになります。このタイプから脱するには、管理職が「問題対処」と「課題設定」の両方を担える思考力を身につけることが急務です。
タイプ③:低迷している企業
「問題」も「課題」もなく、ぬるま湯状態の企業。変化の少ない市場でそれなりの利益を上げているが、成長を求めない状態。
このタイプは一見、安定しているように見えます。しかし、「問題」もなく「課題」もないということは、「現状に満足している」ということであり、変化の激しい現代では最も危険な状態ともいえます。かつての東京電力や多くの国営企業がこれに該当します。独占的な市場環境に守られ、問題も課題も持たないまま組織が硬直化し、いざ競争にさらされた際に対応できなくなるのです。
市場環境は常に変化しており、現状維持は実質的には後退です。管理職研修でこのタイプを取り上げる際には、「今この瞬間、あなたの組織が成長を止めているとしたら、5年後はどうなっているか」という問いを管理職に突きつけることが有効です。危機感を持てない組織に未来はありません。
タイプ④:成長する企業——管理職研修が目指すゴール
「問題」にも対処しながら、常に「課題」を設定し、夢と希望を持って課題解決に向けて取り組んでいる企業。問題と課題の両方を持ち、それをバランスよく対処できている。
このタイプが、管理職研修が目指す組織の姿です。成長する企業は、「問題(発生型)」と「課題(設定型)」の両方を持ちながら、それを両者バランスよく対処できています。トヨタ、Apple(成熟期以降)、スターバックスなどがその代表例です。これらの企業は、日々の問題にも真摯に向き合いながら、常に「次の10年、どこを目指すか」という課題を設定し続けています。
管理職がこの思考を身につけると、組織は自然と「未来に向かって動く集団」へと変わります。「問題が起きた、どうしよう」ではなく、「問題を解決しながら、さらにここを目指す」という態度で組織を引っ張ることができるようになります。
管理職研修で「今の自分の組織」を問い直す
4つのタイプを理解した上で、管理職研修の参加者に「自分の組織はどのタイプか」「そのタイプから脱するために、自分は何をすべきか」を考えさせることが重要です。
多くの管理職が②の「疲弊している企業」に近い状態を実感します。そしてその状態から脱するための第一歩として、「課題(ありたい姿)を自分で設定する習慣」を身につけることの重要性を、管理職研修を通じて実感してもらうことができます。
まとめ——自分の組織タイプを正直に問い直すことが変革の起点
4タイプのうち、「成長する企業」は問題にも向き合いながら課題も設定し続けています。管理職研修の目的はこの状態を組織に定着させることです。今日、自分のチームに「私たちは今どのタイプにいるか」と問いかけてみてください。正直に現状を認識することが、変革の一歩目です。
管理職研修のプログラム設計でお悩みですか?
課題解決力を軸にした管理職研修プログラムの詳細は、お気軽にお問い合わせください。貴社の組織課題に合わせたカスタマイズにも対応いたします。
コメント