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管理職研修に「自分史ワーク」を取り入れるべき3つの理由

管理職研修と聞くと、ケーススタディやロールプレイなどのスキルトレーニングをイメージする方が多いかもしれません。しかし近年、管理職研修の中で「自分史」を書くワークを取り入れる企業が増えています。幼少期から現在までの人生を振り返り、自分の価値観やモチベーションの源泉を掘り起こすこのワークが、なぜ管理職研修で有効なのでしょうか。三つの理由をお伝えします。

理由のひとつ目は、「本当の自分」を知るためです。「自分のことは自分が一番わかっている」と多くの人は考えますが、これは脳科学の観点からは否定されています。人間の行動の95~97%は無意識に支配されており、意識的に選択している行動はわずか3~5%に過ぎません。つまり、私たちの「自分らしさ」の大部分は無意識の中に埋もれています。人間は生存本能から現状維持を求める生き物ですから、自分史を書くことを通じて、無意識の中にある価値観や信念を言語化し、意識の世界に引き上げることができるのです。たとえば、3日前の晩ごはんを正確に覚えている人は少ないでしょう。脳は「重要でない」と判断した情報はすぐに忘れてしまいます。しかし逆に、何年も前の記憶を今でも覚えているのだとしたら、それはあなたにとって「意味のある出来事」です。脳が「これは大切だ」と判断して記憶に残したのです。

自分史ワークが効く3つの理由
1「本当の自分」を知る
行動の95~97%を支配する無意識の価値観を言語化する
2自己肯定感を高める
過去のネガティブ体験を「意味ある経験」に再解釈する
3「ありたい姿」の土台をつくる
価値観とモチベーションの源泉から「ありたい姿」を描く

理由のふたつ目は、自己肯定感を高めるためです。自分史を振り返ると、思い出したくないネガティブな出来事もよみがえります。失敗した経験、誰かに傷つけられた経験、自分が誰かを傷つけてしまった経験——それ自体はつらい記憶かもしれません。しかし、その経験があったからこそ、今あなたは部下の気持ちに寄り添えるマネージャーになっているのだとしたら、その出来事は今のあなたを形づくる重要な経験だったということになります。このようなポジティブな再解釈を通じて、「自分の人生も悪くないな」という自己信頼が回復していきます。

理由の三つ目は、「ありたい姿」を描く土台になるためです。自分の価値観やモチベーションの源泉が明確になると、単なる延長線上の目標ではなく、心の底からワクワクする「ありたい姿」を描けるようになります。これはコンフォートゾーンを未来に移すための必須条件です。管理職研修で自分史ワークを行う際のポイントは、感情が動いた記憶を重視し、それぞれの出来事に対して「この体験は自分にとってどんな意味があったのか」「この体験を通じて何を大切だと知ったのか」と問いかけていくことです。

管理職研修に自分史ワークを導入する際の実践的なノウハウをいくつかお伝えしましょう。まず、自分史は一人で黙々と書くだけでなく、書いた内容をペアやグループで共有するプロセスを組み込むことが重要です。他者に語ることで、自分でも気づいていなかった価値観やパターンが浮かび上がることが多いのです。聞き手が「それってすごく大変な経験だったんですね。でも、そこから今の強みが生まれたように見えます」とフィードバックしてくれることで、自分一人では到達できなかった気づきが得られます。

また、自分史を書く際には、「事実」と「解釈」を分けて考えることが重要です。たとえば「大谷翔平選手はスーパースターである」は、多くの人が事実だと思い込んでいますが、厳密に言えばこれは「解釈」です。事実とは、誰が見ても時代が変わっても変わらないもの。そして、その事実にどう意味をつけるかが解釈です。自分史を書く際にも、まず過去の出来事という事実を思い出し、そこからポジティブな意味を言葉にしていくのです。

管理職研修では、人生をいくつかのフェーズに分け、各フェーズでの学びや今の自分へのメッセージを整理するアプローチが効果的です。たとえば、学生時代、社会人初期、中堅時代、管理職就任後といった区切りで振り返ることで、自分の価値観やモチベーションの変遷が見えてきます。そしてその変遷の中に一貫して流れるテーマを見つけたとき、「これが自分の軸だ」という確信が生まれます。

このプロセスは時間がかかりますが、管理職研修の中で最も投資価値の高いワークのひとつです。なぜなら、自分史を通じて得た自己理解は、研修後も管理職の判断の基盤であり続けるからです。研修のスキルは忘れることがあっても、自分の軸は一生残ります。

さらに効果を高めるコツは、書いた自分史を信頼できる同僚やメンター、あるいは外部のコーチと共有する機会を設けることです。一人で書いた自分史は、どうしても「自分フィルター」がかかっています。他者の視点を借りることで、自分では気づかなかったパターンや強みが浮かび上がることが多いのです。

また、管理職研修の数ヶ月後に「自分史のアップデート」セッションを設けることも有効です。研修で書いた自分史を改めて読み返し、研修後の数ヶ月間の経験を加えて更新するのです。研修直後と数ヶ月後では、同じ過去の出来事に対する解釈が変わっていることも珍しくありません。そうした変化自体が、管理職の成長の証なのです。

自分史ワークは、管理職研修における一回きりのプログラムではなく、管理職の継続的な自己成長のための「基盤ツール」として位置づけることが理想的です。定期的に自分史を振り返り、更新していくことで、管理職は常に「自分はどこから来て、どこへ向かうのか」を明確に持ち続けることができるのです。

管理職研修に自分史ワークを取り入れることで得られる副次的な効果として、「管理職同士の信頼関係の深化」も挙げられます。研修の場で互いの人生ストーリーを共有することで、表面的な役職や立場を超えた人間としての絆が生まれます。この絆は、研修後の日常業務においても、部門を超えた協力関係やオープンなコミュニケーションの基盤となります。管理職研修を「個人の成長」だけでなく「管理職コミュニティの形成」の場として設計することで、組織全体のマネジメント品質を底上げすることができるのです。

自分史ワークは、管理職研修の中で最も「個人的」でありながら、最も「普遍的」な学びを提供するプログラムです。自分だけの物語を紡ぐことで、管理職は自分だけの軸を手に入れます。その軸があればこそ、どんな変化にも対応でき、どんな部下にも寄り添える、真のリーダーへと成長できるのです。

このプロセスを管理職研修に組み込むことで、管理職は自分自身を深く理解すると同時に、部下に対しても同じアプローチでキャリア支援を行えるようになります。

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Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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