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管理職研修で教えるマーケティングの基本|セールスとの違いからSTP・4Pまで

「マーケティング研修を社内で企画したいが、そもそもマーケティングとは何かを体系的に説明できるだろうか」。管理職研修の一環としてマーケティングを取り上げる際、人事部門でこのような課題を感じている方は少なくないはずです。

マーケティングとセールスの本質的な違い

マーケティングとセールスは混同されがちですが、両者には根本的な違いがあります。セールスとは「仕組みの中で顧客に売るための方法論」であり、マーケティングとは「顧客が購入する仕組み作りの方法論」です。経営学者ドラッカーは、マーケティングが目指すものは顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることだと述べています。

🎤 講座から

「マーケティングとセールスは概念として全く違うもの」

本ブログの内容は、当社の管理職向けマーケティング基礎講座をもとにしています。講座では、マーケティングとセールスの違いについてこう解説しています。

マーケティングとよく似た言葉にセールス、つまり営業があります。なんとなく同じように聞こえますよね。私自身も昔は、この違いをあまり意識していませんでした。でも勉強すればするほど、マーケティングとセールスは概念として全く違うものだと分かってきました。

さらに講座では、マーケティングが営業・マーケティング部門だけのものではないことを強調しています。

開発、人事、経理、財務などの方であっても、自社の商品・サービスにどんな価値があるのか、お客様にとってどんな意義があるのか、それをどう伝えていけばよいのか。こうした視点は、皆さんの仕事にも間接的に役立つはずです。

この言葉が示すとおり、マーケティング思考はあらゆる部署の管理職が身につけるべきビジネスの基本リテラシーなのです。

つまり、セールスが「いかに売るか」を考えるのに対し、マーケティングは「いかに売れる状態を作るか」を考えます。管理職研修においてこの違いを最初に明確にすることで、受講者が自部門の活動をマーケティング視点で捉え直すきっかけとなります。

マーケティングの全体像:価値の発見・創造と価値の伝達

マーケティングは大きく二つのプロセスから成り立っています。第一に「価値の発見・創造」です。これは顧客のニーズを掘り起こし、市場を細分化(セグメンテーション)し、ターゲットを定め、自社の立ち位置を明確にする(ポジショニング)プロセス、すなわちSTP分析と呼ばれるものです。

第二に「価値の伝達・提供」です。これはProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4Pと呼ばれるフレームワークで、発見・創造した価値をいかに顧客に届けるかを設計します。STPと4Pは相互にリンクしており、これらを複合的に組み合わせて売上の最大化を図ることがマーケティングの全体像です。

BtoBとBtoCのマーケティングの違いを押さえる

管理職研修を設計する際に重要なのは、自社がBtoB企業なのかBtoC企業なのかによってマーケティングのアプローチが大きく異なるという点です。BtoBでは顧客数が限られ、複数の関与者が論理的に購買を意思決定し、検討期間が長くなります。一方BtoCでは顧客数が多く、論理に加えて感情が意思決定に影響し、購買単価は比較的低額です。

BtoB企業ではマーケティング部門がリードジェネレーション(見込み客リストの作成)とリードナーチャリング(見込み客の育成)を担当し、営業部門がクロージングを担うケースが一般的です。この役割分担を理解した上で、どの部署の管理職にどのレベルのマーケティング知識が必要かを見極めることが、研修企画の鍵となります。

管理職研修の企画への示唆

管理職研修にマーケティングを組み込む際は、まずSTP分析と4Pという二つの柱を中心に据えることをお勧めします。受講者が営業部門の管理職であれば、自社のSTPがどのように設定されているかを理解し、チームの営業活動をマーケティング戦略と整合させる視点が重要です。企画部門や開発部門の管理職であれば、顧客ニーズの深掘りや新たな価値創造に重点を置くカリキュラムが効果的でしょう。

マーケティングは特定の部署だけのものではなく、顧客視点で自部署の活動に直接的・間接的に役立てられる普遍的な思考法です。この認識を研修の冒頭で共有することで、管理職の受講モチベーションを高め、現場への落とし込みを促進できます。

全管理職に必要な視点

営業・マーケティング部だけのものではない ―「後工程=顧客」という発想

「マーケティングは営業部やマーケティング部が学ぶもの」。そう思われる方は少なくありません。しかし、マーケティングの本質は顧客のニーズを顧客目線で理解し、自社の製品・サービスに活かすことです。この「顧客」を広く捉え直すことで、全ての部署にマーケティング視点の価値が見えてきます。

ものづくりの現場では「後工程はお客様」という考え方があります。これをマネジメントに応用すれば、自部署の仕事を受け取る相手こそが「顧客」になります。

経理部
後工程(顧客) 経営層・各事業部
人事部
後工程(顧客) 現場の管理職・社員
情報システム部
後工程(顧客) 全社のエンドユーザー
法務部
後工程(顧客) 営業部・経営企画

経理部が提供する月次決算レポートは、経営層にとって意思決定の材料です。「経営層はどのような切り口で数字を見たいのか」「何を判断するために使うのか」。そのニーズを深く理解し、フォーマットや提供タイミングを最適化する ― これはまさにマーケティング思考そのものです。

人事部にとっても同様です。採用・研修・評価制度という「サービス」を届ける先には、現場の管理職や社員がいます。彼らが本当に必要としている支援は何か。表面的な要望の奥にある本質的な課題(インサイト)を掘り下げる力は、マーケティングの学びから直接得ることができます。

マーケティング視点は、全管理職が持つべき基本的な思考フレームワークです。管理職研修のカリキュラムにマーケティングを組み込む際は、「なぜ自分たちが学ぶのか」を最初に腹落ちさせることで、バックオフィス部門の管理職も前のめりに参加できる研修になります。

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Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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