2E式管理職養成プログラム

「自己基盤力」をベースに

管理職を“罰ゲーム”にしないための、マネジメント再設計。

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その「なぜなぜ」が、部下とチームを疲弊させる|AI時代の管理職に必要なのは、問題解決より「課題解決力」

こんにちは、2E Consultingの山本哲郎です。

2026年9月14日に、自社主催のウェビナー「その“なぜなぜ”が、部下とチームを疲弊させる」を開催しました。この記事は、当日お話しした内容を、図解とともに再構成したものです。

出発点は、人事の方から本当によく伺う、この悩みでした。

管理職に問題解決研修を行い、課題も出し、個別にフォローもしている。それなのに、なぜか効果が出ない。

こんな場面に心当たりのある方へ

  • 管理職が目の前のことに追われていて、問題解決力が低いと感じる
  • 管理職が、組織の方向性を自分の言葉で語れない
  • そんな管理職のもとで、部下も「やること」に追われて疲弊している
  • 問題解決研修を実施し、フォローもしているのに、現場が変わらない

1. 「なんで出来ないんだ」と「君は何がしたいの?」

少しだけ、私自身の話をさせてください。今日のテーマの原点だからです。

私は2005年に総合商社に入社しました。新人時代の私は、恥ずかしいほど仕事の出来ない社員でした。決められたことを、決められたとおりにこなすのが苦手だったのです。ミスをするたびに「お前、なんで出来ないんだ」「なぜ確認しなかったんだ」と詰められる日々が、3年ほど続きました。「自分は本当にダメな人間だ。でも、本当はこんなはずじゃないのに」。そんな思いを、ずっと抱えていました。

転機は、2013年から5年間のシンガポール駐在です。出向先の外資系の会社で出会った上司は、私のキャリアの中でただ一人、こう聞いてくれた人でした。

「哲郎くん、君は何がしたいの?」

指示でも、詰問でもありません。意思を問われたのです。この問いで目的が見つかり、この上司のためなら一肌脱ごうと思えて、成果も出ました。

同じ「問う」でも、向きが変われば、人は逆に動く

新人時代の上司

「なんで出来ないんだ」

萎縮する。隠す。他責になる

シンガポール時代の上司

「君は何がしたいの?」

目的が見つかる。自分から動き出す

その後、本社に戻ると、決められたことを素早く的確にこなす、私がいちばん苦手な仕事が待っていました。毎週月曜の朝、おしゃれなカフェテリアの一角で私ひとりだけが詰められ、あとで同僚に「てっちゃん、大丈夫だった?」と声をかけられる。そんな日々の末、逃げるように転職して拾ってもらったのが、研修会社でした。

振り返って強く感じるのは、管理職のあり方が、部下のキャリアとパフォーマンスを大きく左右するということです。これが、私が管理職育成に携わるようになった原点です。

2. 効かないのは、誰のせいでもないのかもしれない

冒頭の悩みに戻ります。問題解決研修をしても、効果が出ない。私は、これは管理職にやる気がないからでも、研修の設計が悪いからでもないと考えています。

ひょっとしたら、「問題解決」というアプローチそのものが、今の時代に合わなくなっているのかもしれない。

アプローチの問題だとしたら、これまでどおりの研修を続けても、なかなか変わりません。では、なぜ合わなくなったのでしょうか。

3. 問題解決が「正解」だった、3つの前提

伝統的な問題解決とは、あるべき姿からへこんだ原因を特定し、対策を論理的に組み、部下は管理職の指示どおり的確に動く、というものです。これが長らく機能してきたのは、3つの前提が揃っていたからだと私は考えています。

問題解決が「正解」だった、3つの前提

あるべき姿

時代と市場が、与えてくれた

欧米に追いつけ、安く良いものを大量に、右肩上がり

今:崩れた

自分たちで描く時代

モチベーション

制度が、供給してくれた

終身雇用と年功序列。動機を作らなくても人は動いた

今:崩れた

自分で作る時代

正解

管理職が、知っていた

経験と情報が部下より多く、指示するのが最速だった

今:崩れた

正解は、AIが出す時代

前の二つはこの20年ほどで少しずつ崩れ、最後の一つをAIが崩した

私が子どもの頃、サラリーマンだった父が管理職に昇格すると、お寿司を取って家族でお祝いをしました。出世は名誉であり、やりがいでした。今、「この会社で定年まで勤め上げよう」と考えて入社する若者は、ほとんどいないのではないでしょうか。

そして今、部下はまずAIに聞きます。AIに正解を聞いてから、上司のところへ来る。前の二つの前提は、この20年ほどで少しずつ崩れてきました。最後の一つを、AIが崩しました。

問題解決そのものは、正しかったのです。ただ、それは3つの前提が揃っていたからでした。 前提が崩れた今、管理職には、これまでとは違う「新しい時代の問題解決力」が求められているはずです。

4. AIはすごい。でも人間は、おにぎり2個で動いている

AIは、大学入試の最難関や司法試験でも、合格水準を超える点を取ると報じられるようになりました。記憶と論理では、もう勝負になりません。では、人間はAIより劣っているのか。私は、むしろ逆だと思っています。

脳ひとつ分の働きに必要なエネルギー

人間の脳が1日に使うエネルギー

約400〜500 kcal

おにぎり2個分ほど

同じ働きを、AIで代替すると

約200 世帯分の電力

村ひとつ分(試算により100〜250世帯分)

AIが代替できるのは、人間の能力のほんの一部

AIが村ひとつ分の電力を使わなければ出来ないことを、人間はおにぎり2個でやっている。つまり、AIが代替できる能力は、人間の能力のほんの一部にすぎないということです。計算の中身は、AIに代替できない管理職の価値|脳は“おにぎり2個分”で動いているに書きました。

5. 人間にしか出来ない、3つの力

では、人間にしか出来ない力とは何か。私は大きく3つに分けています。

人間にしか出来ない、3つの力

創造力

ゼロから、何かを生み出す

決断力

責任を引き受け、覚悟を決めて決める

チーム力

論理の正しさを超えて、シナジーを生む

AIは案を無限に出せる。でも、決められない

なかでも重要なのが、決断力です。未来のことは、誰にも分かりません。いくつもの選択肢の中から「これだ」と決められるのは、目的を持ち、責任を引き受け、覚悟を決めるからです。AIには、目的も覚悟もありません。

AIは、案を無限に出せます。でも、決められません。生成はAI、決断は人間。 この3つの力こそ、新しい時代にふさわしい「問題解決力」なのではないでしょうか。

6. 使い方を間違えた「なぜなぜ」は、3つの力を傷つける

ところが、伝統的な問題解決は、使い方を間違えると、この3つの力を傷つけます。

3つの力と、それを傷つける問い

創造力

▼ 傷つける

「なぜ、問題が発生したのか?」

原因を潰してゼロに戻すだけ。現状の延長線にしか、未来を置けない

決断力

▼ 傷つける

「なぜ、出来ないのか?」

セルフイメージが下がり、他責になる。決断から遠ざかる

チーム力

▼ 傷つける

人に向けた「なぜ?」

「誰が悪いのか」の犯人探しになり、シナジーを壊す

なぜなぜを否定するのではない。使い方を間違えると、人間にしか出来ない力を削ってしまう

二つ目を、たとえ話で補います。私が婚活コンサルタントに相談に行ったとしましょう。担当の方が、真剣な顔でこう言います。「山本さんがなぜ選ばれないのか、分析しました。まず、服がダサいです。次に、トークがいけていません。それから、独立されたので収入が安定していません」。

全部図星で、全部正しい。でも私はたぶん、「うるせえ」と怒って帰ります。

「なぜ出来ないのか」という問いは、どれだけ正しくても、問われた人のセルフイメージを下げてしまうのです。 そして、それは一度では終わりません。

「疲弊」の正体は、回り続ける悪循環

「なぜ出来ない?」と詰めるセルフイメージが下がる隠す。他責になる悪い情報が上がらないさらに問題に追われる疲弊の悪循環

部下個人を責めても、解決しない。問いの向きを「どうすれば、近づける?」に変える

新人時代の私が、まさにこれでした。なぜ出来ないんだと言われ続けて、ミスが起きても上司に言えない。報告が遅れる。隠してしまう。部下個人を責めても、解決はしません。

では、どうすればいいのか。問いの向きを変えるのです。「なんで出来ないの?」ではなく、「どうすれば、近づける?」。意識が「出来ている未来」に向き、人は自分から動き出します。

誤解のないように書いておくと、なぜなぜ分析そのものを否定しているのではありません。機械や工程、モノやコトに向けるぶんには、今でも非常に優れた道具です。問題は、それを「人」に向けたときに起きます。原因の特定がどうしても必要な場面での問い方は、「なぜ?」と聞かない質問術に書きました。

管理職を“罰ゲーム”にしないための、マネジメント再設計

2E式管理職研修は、スキルを足す前に、管理職自身の「ありたい姿」を言葉にするところから始めます。「なんで出来ないんだ」と詰める管理職を、「どうすれば近づける?」と問える管理職へ。プログラムの全体像をご覧ください。

2E式管理職研修の詳細を見る

7. 【余談】失われた30年と、ドラッカー

少し脱線します。私は、「失われた30年」を、問題解決の負の側面が出た30年と見ることも出来るのではないか、と考えています。

日本は、世界で最もドラッカーが読まれている国の一つだと言われます。ドラッカーのマネジメント観をひとことで言えば、人の可能性を信じ抜くことだと、私は受け取っています。では、この30年、現場で強くなったのは何だったでしょうか。

  • 目的よりも、まず目の前のKPIの達成
  • 強みを活かすよりも、弱点の是正
  • 責任を引き受けて決めるよりも、稟議と承認
  • 自分で決めるよりも、決められたことをどうやるか

「管理職」という言葉に象徴されるように、マネジメントが、まさに「管理」になってしまったのではないでしょうか。

この30年を映すデータ

熱意を持って働く従業員

日本 8%

世界平均は20%

働く目的「お金を得るため」

49.5%63.5%

2003年 → 2025年

働く目的「生きがいをみつけるため」

22.5%13.1%

2003年 → 2025年

出典:Gallup「State of the Global Workplace」/内閣府「国民生活に関する世論調査」

問題解決が悪いのではありません。目的を失った問題解決が、「管理」になるのだと思います。

8. 「問題」と「課題」は違う

では、どんな考え方に転換すればいいのか。私は、「問題」と「課題」を分けて定義しています。

「問題」と「課題」の違い

問題

何との差か 「あるべき姿」との差

起点 すでに発生している

正解 ある。原因を探せる

有効な問い 「なぜ?」

課題

何との差か 「ありたい姿」との差

起点 設定して、初めて見える

正解 ない。思いと価値観が詰まっている

有効な問い 「どうすれば?」

この違いにたどり着いたのは、研修会社時代でした。新規事業開発が得意な、ある会社で問題解決研修を担当したのですが、どうもしっくりこない。何か新しいことをやりたい人に、現状とありたい姿の差を「なぜ」で分析してもらっても、何も出てこないのです。

理由は単純でした。ありたい姿には、論理的に正しい正解がないのです。

「俺は日本一のお笑い芸人になる!」と言っている若者に、「なぜ今、日本一になれていないの?」と聞いても、何も生まれません。「どうしたら、そこに一歩近づける?」と聞いたほうが、はるかに建設的で、道筋が見えてきます。

ここまで「新しい時代の問題解決力」と呼んできたものを、私たちはこう定義しています。

課題解決力とは

自らありたい姿を設定し、
答えのない決断をして、
一歩でもそこに近づこうとする力

定義の違いそのものは、「問題」と「課題」の本質的な違いで、もう少し丁寧に書いています。

9. 育て方①:脳と戦わず、脳を味方につける

では、課題解決力はどう育てればいいのか。ここからは少し、脳の話になります。

脳には、ホメオスタシス(恒常性維持)という仕組みがあります。サウナに入ると、頑張らなくても勝手に汗が出て、体温を元に戻そうとする。あれです。同じことが、心理にも起こります。居心地のいい現状、つまりコンフォートゾーンから一歩でも踏み出そうとすると、元に戻そうとする強い力が働きます。ダイエットで「甘いものを我慢しよう」と決めた途端に、「無理するな、体に悪いぞ」と脳がささやく、あの現象です。

だとすれば、答えは一つです。

コンフォートゾーンそのものを、未来へ移す

現状のコンフォートゾーンありたい姿未来のコンフォートゾーンありありと描く

現状のほうが居心地悪くなり、脳が勝手にギャップを埋めようとする。これが内発的動機づけ

創造力も、決断力も、チーム力も、命令では出てきません。「もっと創造的になれ」「当事者意識を持て」と指示されても、脳は防御に入るだけです。脳と戦うのではなく、脳を味方につける。課題解決力の出発点が「ありたい姿の設定」である理由は、ここにあります。詳しくは自己基盤力とは?なぜ管理職は「わかっても変われない」のかでも扱っています。

10. 育て方②:ありたい姿は、Will・Can・Mustで描く

では、コンフォートゾーンが未来へ移るほどの「ありたい姿」は、どうすれば描けるのか。使い古されたように見えて、実に良く出来たフレームワークがあります。Will・Can・Mustです。内発的動機づけの研究で知られる自己決定理論(デシとライアン)の3条件と、きれいに重なるからです。

Will・Can・Mustは、内発的動機づけの3条件と重なる

WillやりたいことCan自分の強みMust求められることありたい姿

Will = 自律性

自分で選び、決めているという感覚

Can = 有能感

自分の力が活きているという実感

Must = 関係性

価値ある存在として認められている感覚

自己決定理論(デシとライアン):3条件が揃うと、人は「やらされ」から「自ら動く」に変わる

ところが、多くの管理職は、Mustで頭がいっぱいです。WillとCanのないMustは、ゴールではなくノルマになります。しかも研修で「Will・Can・Mustを書いてください」とお願いしても、驚くほど筆が動きません。ふだん考えたことがないからです。描くには、正しい順番があります。

人は、欠けているところに目が行く

まず、どこに目が行きましたか?

ほとんどの人は、欠けた部分を見る

過去 × +

成功体験・強み

→ Can が見つかる

未来 × +

願い・ありたい姿

→ Will が見つかる

過去 × -

失敗・挫折

向き合って、+に再解釈する

未来 × -

リスク・不安

「どうせ無理」で現状維持に

放っておくと、目は「-」に行く。だから意識して「+」に向ける(人生の4象限)

放っておくと、人は過去の失敗に目が行き、未来のリスクが気になり、「どうせ無理だ」と現状維持を選びます。三日坊主の仕組みです。だから、意識して過去のプラスに目を向ける。そして過去のマイナスからも目を背けず、ポジティブに再解釈します。

私で言えば、新人時代に毎日詰められた経験がそうです。あの経験があったからこそ、仕事が出来なくて苦しんでいる人の気持ちが分かるし、その人のために何かしたいと思える。今なら、そう解釈できます。

良いことも悪いこともあったから、今の自分がある。そう認められたとき、初めてWillとCanが言葉になります。だから当社の研修では、必ず最初に自分史を書いていただきます。関連記事は「Will-Can-Must」の本質「自分史ワーク」を取り入れるべき3つの理由です。

11. 育て方③:Why→How→What。Howは「循環する構造」で考える

WillとCanを描き、そこに会社からの期待であるMustを重ねると、個人の目的が言葉になります。管理職であれば、そのうえで「自分はどんな組織を作りたいのか」を描きます。

課題解決の手順は、Why→How→What

Why

ありたい姿を描く

Will・Can・Mustから、目的を言葉にする

How

構造を作る

どうすれば近づけるか。循環する仕組みで考える

What

実行計画を立てる

誰が・いつ・何をに落とす

いきなりWhat(やること)には向かわない

Howは、問題解決でいえば「分析」にあたります。面白いのは、「なぜ?」と「どうすれば?」は、因果関係としては同じだということです。水が漏れている。「なぜ?」と問えば「元栓が緩んでいるから」。「どうすれば?」と問えば「元栓を締める」。論理は同じで、向きだけが違います。

そしてHowの最大のポイントは、「AならばB」という線形で終わらせず、循環して回る仕組みを作ることです。私がよく例に挙げるのが、ユニクロです。1995年には「ユニクロの悪口言って100万円」というキャンペーンまで行って、お客さまの声を集めました。

ユニクロに見る、循環する構造

顧客の声を集めて分析商品開発に反映するニーズに合った商品ができる客数が増える回るほど、良くなる

「AならばB」で終わらせず、水車のように回り続ける仕組みを作るのが、How

水車のように回るこの仕組みを、Howの中でどう作るか。原因ではなく、構造を見る。手順の全体像は、WHY→HOW→WHATで進める課題解決フローにまとめています。

12. 順番を変えたら、他責の答えが消えた

最後に、私の失敗談です。独立して間もない頃、あるベンチャー企業で問題解決研修を担当しました。講義の評判は上々でした。ところが、自社の問題を分析してもらったところ、いちばん優秀だった受講者の結論は、こうでした。

「すべて、社長が悪い」。

その方は、ほどなく会社を辞めていきました。社長からは、ずいぶんお叱りを受けました。なぜこうなったのか。あるとき気づいたのです。「社長が悪い」と言っていた彼の姿は、会社員時代の私そのものでした。うまくいかないときは会社のせい、上司のせい。では、私はなぜ他責を抜けられたのか。思い出したのは、「君は何がしたいの?」と聞いてくれた、あの上司でした。

論理的に考えること以前に、自分自身のありたい姿が大事だったのです。

翌年、研修を「順番」から設計し直した

BEFORE:独立直後

原因分析から入る研修

最優秀の受講者の結論は
「すべて、社長が悪い」

AFTER:翌年

自分史 → ありたい姿を言葉に → 仲間と共有 → その後に、論理的思考

他責の答えが消え、
受講者がいきいきと対話

変えたのは内容ではなく、順番

別のプログラムですが、約4か月の管理職研修を終えたある受講者は、アンケートにこう書いてくれました。「ポジティブな未来を考える姿勢が身についた」。スキルというより、ワクワクする気持ちを持てたことが良かった、と。当社が、管理職に必要な力を、土台(自己基盤力)・思考(課題解決力)・行動(1on1対話力と組織対話力)の三層で捉え、土台から始める理由はここにあります。他責の話は、「他責」か「自責」かではないもあわせてどうぞ。

13. 明日からの一歩:「問題」が起きたら、「課題」に転換してみる

研修の設計を、今すぐ変える必要はありません。明日から出来ることがあります。

問題を、課題に転換する3ステップ

1

問題が発生する

目標未達、ミス、クレーム。いつもの「なんで?」が出そうな瞬間

2

一歩立ち止まり、解決後のワクワクした未来を想像する

「この問題が消えたら、チームはどうなっていたい?」

3

「なぜ」を「どうする」に切り替える

「どうすれば、その未来に一歩近づける?」

「なぜ出来なかったの?」の前に、達成後の姿を一緒に描く。費用はゼロです。

よくある質問

セミナー当日にお答えした質問から、4つご紹介します。

Q. 管理職が勝手に「ありたい姿」を描いて、経営方針とぶつかりませんか。

ぶつかることは、あまりないと考えています。具体の施策でぶつかることはあっても、経営方針という大きなものと、管理職のありたい姿が真っ向から対立することは考えにくいからです。会社から降りてきたMustを本質まで読み解いた先にWillを描けば、方針とつながります。

Q. なぜなぜ分析は、やめるべきなのでしょうか。現場では手放せません。

やめるべきだとは、まったく思っていません。モノ、コト、プロセスに向けるなぜなぜは、今でも大切です。前職時代、問題解決で世界的に知られるメーカーの方々とご一緒しました。なぜ彼らの問題解決は機能するのか。口を揃えておっしゃっていたのは、「会議で、常に『目的は何?』と聞かれる」ということでした。組織のありたい姿を共有したうえで、今の問題をどう解くかを考える。この順番をお勧めします。

Q. 創造力や決断力は、もともと持っている人の話では?普通の管理職に、研修で育ちますか。

断言します。育ちます。育てるのは資質ではなく、思考の向きです。自己基盤力という土台があれば、人は自分の目的のために、前向きに組織を動かし、決断できるようになります。ぜひ、自社の管理職の可能性を信じてください。

Q. すでに発生している問題でも、ありたい姿を設定して考えられますか。

できます。問題と課題を切り分けるのがコツです。まず、あるべき姿にいったん到達する。これは発生型の問題解決です。そのうえで、「自分たちとしては、ここまで到達したい」という姿を置く。これが課題解決です。問題にも対処し、課題にも向き合う。成長する組織に共通する原則だと感じています。

Key Takeaway

  1. 問題解決研修が効かないのは、管理職の努力不足でも研修設計のせいでもない。問題解決が機能した3つの前提が崩れ、最後の一つをAIが崩した
  2. 人間にしか出来ない力は、創造力・決断力・チーム力。生成はAI、決断は人間
  3. 人に向けた「なぜ出来ないのか」は、セルフイメージを下げ、隠蔽と他責を生み、管理職をさらに問題に追わせる。これが「疲弊」の正体
  4. 問題は「あるべき姿」との差、課題は「ありたい姿」を設定して初めて見えるもの。課題解決力とは、自らありたい姿を設定し、答えのない決断をして、一歩でも近づこうとする力
  5. ありたい姿は、命令では描けない。脳を味方につけ、自分史→Will・Can・Must→Why・How・Whatの順番で育つ

おわりに:あるべき姿は、与えられる。ありたい姿は、自分たちで描く

管理職の皆さんは、毎日、本当によく戦っています。ただ、その戦いの多くが、正解探しと火消しです。おにぎり2個で動く高性能な脳を、AIが代替できる仕事だけに使って、一日が終わっていく。それが、私にはもったいなくて仕方がありません。

あるべき姿は、与えられる。ありたい姿は、自分たちで描く。

管理職を、問題に追われて疲弊する人ではなく、未来を描いて組織を動かす人に。この記事が、新しい時代の管理職像を考えるきっかけになれば、うれしく思います。

「問題に追われる人」から、「未来を描いて組織を動かす人」へ

「受けて良かった」と感謝される2E式管理職研修は、管理職を“罰ゲーム”にしないための、マネジメント再設計です。自己基盤力を土台に、課題解決力、1on1対話力、組織対話力を、受講者自身の組織課題を題材に積み上げます。プログラムの全体像とお問い合わせは、こちらのページから。

2E式管理職研修の詳細を見る

あわせて読みたい

参考文献・出典

  • 2E Consulting 自社ウェビナー「その“なぜなぜ”が、部下とチームを疲弊させる──AI時代の管理職に必要なのは、問題より課題解決力」(2026年9月14日、登壇:山本哲郎)の講演記録・投影資料
  • Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2000). The “what” and “why” of goal pursuits: Human needs and the self-determination of behavior. Psychological Inquiry, 11(4), 227–268.(自己決定理論:自律性・有能感・関係性)
  • Gallup. State of the Global Workplace.(従業員エンゲージメント:日本8%、世界20%。2025年データ)
  • 内閣府「国民生活に関する世論調査」(働く目的:お金を得るため 2003年49.5%→2025年63.5%/生きがいをみつけるため 22.5%→13.1%。2021年調査から郵送法に変更のため前後に段差あり)
  • ファーストリテイリング「ユニクロの悪口言って100万円」キャンペーン(1995年)
  • 脳の消費エネルギーとAIで代替した場合の電力の概算:当社記事「AIに代替できない管理職の価値|脳は“おにぎり2個分”で動いている」の算定による
  • 2E Consulting 管理職養成プログラム教材(課題解決力ワークシート/Will・Can・Must/人生の4象限/Why→How→What/管理職に必要な力の三層構造)
Tetsuro

Tetsuro

株式会社 2E Consulting 代表。中小企業診断士。アメリカ合衆国ニューヨーク州出身。一橋大学社会学部卒。三菱商事にて製鉄用石炭・鉄鉱石のトレーディング・事業開発・投資事業に携わり、インド・ドイツ・シンガポールに9年間駐在。海外駐在において現地人材の育成・組織開発に携わる中で人材育成に興味を持ち、企業向け研修会社に転職、年間2,000人の受講生にビジネススキルを教える。Harvard Business School Program for Leadership Development 修了(2019年)。その後、独立し、中小企業診断士として数多くの企業経営の現場で経営改善に従事している。

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